日本語学専攻

国際社会の中で日本語を


 「日本語」という言い方を日本人がするようになったのは比較的最近のことです。以前は「国語」という言い方がされていましたが、これは、「日本語は日本人の用いる日本特有の言葉である」という意識に支えられたものでした。しかし、近年、日本の経済や文化に対する関心が高まり、海外において日本との取引や交流を求める人や、日本に来る留学生・研修生・労働者等の数は増加しています。その結果、「日本語」は、もはや日本という閉じられた国における特有の言語ではなく、世界の人々に開かれた言語の一つであるということが社会的にも受け入れられるようになってきました。このような状況の変化に伴い、「日本語を話す」とは一体どういうことかが、改めて問い直されなければならなくなってきました。マスメディアの発達やグローバル化によって社会が変化していく中で、どのようにすればコミュニケーションの手段としての日本語の優れた使い手になれるかということが、今後の社会を発展させていく上で一つのキーポイントとなるからです。

言語に焦点をあてて、教育に焦点をあてて

日本語学コー


日本語の普遍性と個別性に関する研究。社会的グループ間に見られる多様性と場や状況に関連した可変性の記述。

日本語教育学コース


日本語の習得と学習に関わる認知心理的、社会・文化的要因の解明。言語習得を促進する教育方法の探求。




日本語学コース  日本語の理論的研究と実態研究


 本コースでは日本語の理論的研究と実態研究が相互補完的に行われるように科目を設定し、バランスの取れた日本語研究が行えます。

 一つの柱は、日本語の統語構造と意味構造を研究することです。言語の普遍性から日本語の構造的特質を明らかにし、日本語の個別性から言語の普遍性を解明していきます。本コースでは、文献による調査研究と自ら収集したデータを分析し理論研究を行うことのできる能力を開発します。
 もう一つの柱は、日本語の変容・多様性に関する研究、特に方言研究です。方言研究は、現在における日本語のありのままの姿を記録するとともに、変容の実態を明らかにし、そこから歴史的変遷の解明、今後の変化の方向性の予測という研究を行います。そのために、データ収集などに関する基礎的能力と、言語変化についての仮説を構築し検証していく研究能力の養成に努めます。

日本語教育学コース  日本語教育の理論的および応用的研究


 本コースでは、第二言語としての日本語の習得と教育に関する専門的な知識と技能を身につけ、国内外の日本語教育関連分野で専門家や研究者として活躍していく人材の育成をめざしています。理論面では、第二言語習得や言語教育の分野における理論的研究および記述的研究に基づいた知見により、日本語の習得と使用にかかわる言語的・認知心理的・文化社会的要因を解明し、効果的な言語習得を促す教育のあり方を探求します。そのために日本語の習得・学習指導に関連する諸現象を系統的に分析し研究する能力を養います。
 実践面では、カリキュラム、教授法、評価、教材の研究に関する基礎的知識とコミュニケーション能力重視の学習指導能力を育てると共に、様々な学習者のニーズや環境的制約に対応できる創造的な応用力を養います。所定のカリキュラム(実習を含む)を修了すれば日本語教育教員養成プログラム修了証が発行されます。