わたしのソウルフードー食べ慣れたものから普段着の文化をさぐる④

第4回:チン・ミン・ハイ先生(ベトナム:ハノイ出身)

 

『さわやかな、涼しい感じがする料理』

 

 –ブンモック(Bún Mọc)

 

ブンとモックが入っている

  週末など、家族全員が集まるとき、母はよくブンモックを作ってくれました。 これは、具だくさんの汁ビーフンと言ったらいいのでしょうか。

 スープは豚骨です。そこに具が入ります。主役と言えるのは、ブンとモックです。ブン(bún)は、米粉の麺。米粉の麺は何種類かありますが、ブンはフォーなどより細い麺です。そして、モックは豚肉のミートボールです。豚肉だけでなく、キノコも入れたりします。野菜は、フキを入れることが多いでしょう。そして茹でた豚肉も入れることがあります。

  このフキと豚肉の組み合わせがおいしいのです。わたしは特にフキが好きなので、お母さんはたくさん入れてくれました。脂肪分は少なく、さわやかな、涼しい感じがする料理なので、夏によく食べます。ただ、手間がかかる料理なので、家では、昼か夜に作ります。朝や昼は外食して、夜は家で家族と食事するということが多いです。

 

ハノイは豚肉が手に入りやすかった

  ブンモックは、ベトナム北部の料理です。祖父母の時代から食べられていました。昔、ハノイに屠殺場が多くある村があり、豚肉が手に入りやすかったのです。モックは豚のミートボールですが、その名前がついた村がいまでもあります。いまは、全国で食べられるようになりました。ブンモックは食堂で食べれば、150円くらいでしょう。豚肉は安いですから。ベトナムでは、フォーのお店、ブンモックのお店と分かれてあります。

 ベトナムの味の傾向は、南は甘く、中部は辛く、北は普通(甘くも辛くもない)という感じです。中部は香辛料の効いた料理が多いのです。