第5回:キム・ジュサン(金周祥)先生(韓国語エリア:韓国、忠清道出身)

 

『韓国の伝統的ファーストフード』

 

-チョングクチャン

 

独特の匂いがする

 チョングクチャンは、子どもの頃、一番食べたものです。週に5日くらい食べたと言っていいでしょう。

 これは、大豆を自然発酵させた食べ物です。納豆と似ていますが、あんなにネバネバしてはいません。そのまま食べるのではなく、豆腐、肉、ねぎなどと一緒にチゲ鍋に入れます。最後はご飯も入れてまぜて食べます。朝昼晩、いつでも食べます。鍋に入れればいいだけなので簡単ですから。米のとぎ汁を入れると香ばしいニオイがしますし、もともと農村の食べ物で、冬に食べるとより風味がいいです。

 好きだったかと聞かれれば、小さいときはあんまり好きではありませんでした。その一番の原因は匂いです。独特の匂いがします。いい匂いではありません。足のニオイに似ているという人もいるくらいですから。鍋で温めるので、納豆の3倍くらい匂います。

 

いまは健康食として人気

  うちでは家で作っていましたし、お祖母さんが送ってくれることもありました。でも、いまはスーパーでも売っています。最近は健康食としてサラダに入れられるようにもなりました。抗ガン作用もあると聞いたことがあります。

  お祖父さんの頃も食べていましたから、昔からある食べ物でしょう。小さい子には不人気ですが、30代以上の人は、健康を気づかってよく食べています。匂いのないものも開発されていますが、わたしは匂いのする方のがおいしいように感じます。実家を離れてだいぶ経ちますが、チョングクチャンの匂いを嗅ぐと家のことを思い出します。軍隊では炊事班だったのですが、そこでもチョングクチャンは出ました。野菜を入れて煮込めばいいので簡単だったのです。

 

確かに辛いものが多い

 韓国では、南は塩辛いものが好まれます。海岸地域なので、わかめなど海産物が多く、気温も高いので腐敗対策という意味でも塩が使われているのでしょう。内陸部では、牛肉を多く食べます。わかめスープにも牛肉を入れたりしますから。

 韓国料理は唐辛子のイメージがありますが、確かにそれは言えます。この間、母親に、韓国の食べ物を送ってくれと頼んだのですが、届いた包みを開けると、ひとつ以外みんな赤い色でした。ただ、唐辛子は豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に持ち込まれたものと言われていて、それ以前の、たとえば宮廷料理は辛くありません。