異文化コミュニケーション研究所
    Intercultural Communication Institute

 
東アジアの近代化と社会変動プロジェクト


 

2005年3月、研究成果報告書が完成しました。


『東アジアの近代化と社会変動プロジェクト:
ベトナム・台湾・中国・韓国・日本における家族と近代化に関する基礎研究』



実施期間
2002年度〜2004年度(3年間)
代表者名
加藤譲治
構成員
晨晃、花澤聖子、林史樹、岩井美佐紀
最終年度報告
 研究最終年である2004年度は、ベトナム、中国、台湾、韓国、そして日本のいわゆる東アジア地域の家族に関する日本語先行研究業績の収集と整理と、それを概括するコメントレポートから成る報告書の作成を目的として活動した。基礎研究としてまずは日本語による文献リストを作成した上で東アジアの家族に関する先行研究に見られる共通項を見出し、新たな段階への総合研究の足がかりを模索しつつ、本学の学生に向けて東アジアにおける家族研究の教材を提供するためでもある。
 報告書より見出されたいくつかの問題点を以下に挙げる。その 1つは、家族の近代化、いいかえれば社会の近代化にともなう家族変動には、伝統的世代家族から核家族・「近代家族」への移行、そして女性の社会進出、それにともなう近代家族の「揺らぎ」(少子高齢化・離婚率の上昇など)が、それぞれの地域による若干の差異はあれども、共通にみいだされるということでる。他方において、地域固有の問題性も指摘される。それは、ジェンダー問題と交錯するのだが、儒教・家父長制などの伝統的価値に対抗する「自由・民主・合理性」などの近代的価値との社会的葛藤が、まさにそれぞれの地域固有の問題性を孕んでいることである。換言すれば、近代化という社会学的文化(文明)の側面では共通現象が、文化人類学的文化(狭義の文化)の面では差異性が明確にみられるといえよう。

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