大学院(金・5)時間割表へ
    英語学研究(現代英文法)
  
HASEGAWA NOBUKO 
長谷川 信子
4単位 
  
通年 
91102010

 英語の教育文法(学習文法)を、理論言語学の統語論、語用論、語彙意味論の視点から、体系化、把握し、日本語の体系(文法、語彙、言語使用)にも言及しながら、真に「英語が使える」ようになるための「文法」とはどのようなものかを考察する。英語の指導者を目指す学生には是非受講してもらいたいが、そうでなくても、英語が国際語として位置づけられる現代にあって、各々の英語の知識(日本語の知識)を、再点検する機会となると思う。
 日本人にとって外国語である英語は、「学ぶ知識」として語彙と文法が導入され、日本語に訳す、という形で教育されてきた。しかし、1990年頃からの「ゆとり教育」路線により中学校での英語の時間数が減少し、英語の「コミュニケーション」の手段・技術としての側面を強調した(特に、2002年施行の)学習指導要領により、英語の言語としての体系(語彙、文法、構文、語用、日本語との違い)の側面が疎かとなったのは周知の事実である。しかし、2011年からの小学校への英語の導入により、中学校では、逆に、「知識としての英語」の教育が多少「復権」する兆しもある。
 言語(英語)は、抽象的な体系であり、それ故に「どんな場面、どんな複雑な思考にも対応可能」なのである。場面やタスクと対応したコミュニケーションのための英語では、限られた状況でしか使用できず、言語本来の持つ応用力・対応力のある英語とはならない。自らの英語の知識(日本語文法の知識)を整理しながら、英語(言語)の文法、語彙の体系を再構築することになろう。

評価方法: 授業での発表、宿題と小レポート、期末レポート。

テキスト名: 中村捷実例解説英文法開拓社2009

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 学校文法と言語学(統語論)の相違
2. 日本語と英語の相違(テキスト第1章、第2章)
3. 語彙範疇(内容語)と機能範疇(機能語)
4. 文法・構造の考え方概観:述語の意味、助動詞要素、文頭要素、構文
5. 以降は、テキストを中心に用いて、学校文法を言語学的に体系化しながら、文法を俯瞰する。
(1) 文の核としての「述語(動詞と形容詞)」(第3章、第4章)
6. (2) 「時制・相・助動詞」(第16章、第17章)
7. (3) 文・節のタイプ(不定詞節、分詞節、動名詞、副詞節、関係節)(第8-12章)
8. (4) 名詞と前置詞(第5章、第6章、第26章)
9. (5) 様々な構文(受動文、比較文、仮定法、it文、倒置文)など