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    研究演習-65
  「ラテンアメリカ地域文化研究ゼミ」
SHIDARA TOMOYASU 
設楽 知靖
4単位 
3〜4 
通年 
60500165

ラテンアメリカ地域文化研究を発展させ、深化させよう。
私の授業の取り組みのモットーは「出会いを大切に。若人に夢を与えたい」です。この研究ゼミを修得しようとする学生諸君は外国語学部の3年次生と4年次生ですが、各々、地域言語を基礎として、今までに学習したラテンアメリカ地域概論等をさらに発展させ、深化させて、社会に巣立つ前の地域への認識を高める考えをもって、この研究ゼミを選択することも考慮していると想像します。そして私が、このラテンアメリカ地域文化を考える上で重要なことは「人核論」です。これも学生諸君に異文化理解の第一歩と考えてほしいのです。すなわち、地球上の人の誕生の瞬間を「人の核」とするとその後の「人の形成」は、その育つ環境、具体的には、人と社会を形成した「家庭」と「地域」によって培われると確信しています。
これは、この研究ゼミの最初に学生諸君の「テーマ選択・決定」の前に、その選択のヒントとして、ディスカッスしようと思います。
ラテンアメリカ地域文化を研究するこの研究演習は、メキシコの歴史・文化・社会・政治経済などの「メキシコ地域文化研究」と、その他のスペイン語圏と主に英語圏のラテンアメリカ諸国の歴史・文化・社会・政治経済などの「ラテンアメリカ地域文化研究」そして、ポルトガル語圏のブラジルの歴史・文化・社会・政治経済などの「ブラジル地域文化研究」の3グループの基本的構成で考えています。
そして、「メキシコ地域文化研究」は「日墨政府交換留学生」の受験を考えている学生諸君にとって、得るところが多い研究となります。メキシコは2005年に「日墨経済連携協定(EPA)」が発効後は両国間の経済・貿易・政治・外交関係・文化および人的交流が進展し、メキシコ市場に進出する約400社の日本企業を中心に更に貿易・資本投資関係が活性化されてきております。
さらに、日本とチリーの間でも同様の協定が発効しており、現在はペルーとの間でも協定交渉が進展しており、これから、メキシコ・チリー・ペルーの3ヶ国は太平洋をはさんだAPECのメンバー国でもあります。
さて、ラテンアメリカ地域の大西洋側に面するブラジルは2008年に「日本人ブラジル移住100周年」を迎え、この社会の日本人は150万人で、長い友好関係にある国で、最近はブラジルの世界の中での位置付けは目を見張るものがあります。
一方、このラテンアメリカ地域は、昨今の世界情勢の中で、「日本と過去において、戦ったことの無い地域」として、日本として世界の中でも重要な「21世紀のパートナー」と位置付けられます。
こうしたことを踏まえ、メキシコ・ラテンアメリカ地域・ブラジルに対して全方位的観点からアプローチし、総合的に研究することが、本研究演習です。
卒業論文の基礎研究であり、各自が主体的、かつ積極的に取り組むべきは言うまでもありませんが、文献精読を通じて分析能力を養い、2年間かけて、学生生活の集大成ともいうべき「卒業論文」を是非、完成させるよう願っています。

評価方法: 研究演習課程の取組み姿勢、研究テーマへの洞察力、創造力、そして最終の論文の自己表現力を
評価し、総合点とします。

テキスト名: 「参考文献」は各々のテーマごとにリストアップ、提示します。
「テキスト」として、ポイント、ポイントでディスカッスするために材料を作成し、提示します。

注意事項: 諸君は地域言語を学び、「異文化・異人種・異言語」という地域を学んでこられた。
それらの大きな財産をもって、社会へ巣発つこととなる。
そして、このラテンアメリカ地域で活躍する諸君が一人でも多く出ることを期待している。
その活躍の節々で決して忘れてはならない、また、さらに勉強しなくてはならない事柄がある。
それは「企業活動に基づいて地域特性理解」を基本としてビジネスにおける応用力、企画力を
培うことであると考える。これは自然と経験を積み重ねることにより
「現場力」として生きてくるものである。
さらに、「国際関係の分析と企業活動視点」を考え、単に「一地域」だけではなく、世界の動向の中で
その地域を「Global Level」、「Regional Level」、「Local Level」で分析して、
ビジネスに結びつけることが必要である。
「リーマン・ショック」後、世界の発展回復にはもはや、「G8」のみでは対処できず、
「G20」の存在が欠かせず、この中にはラテンアメリカ地域の中進国3ヶ国が含まれていることを
忘れてはならない。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 研究テーマのしぼりこみ:
=ラテン研究創造は無限=
ラテンアメリカ地域文化研究の「卒業論文テーマ分野」を検証するに当り、「人文地理」、「政治」、「経済」、「古代史」、「近現代史」、「社会」、「文化」、「その他」(風俗習慣と地域ビジネス、日本のODA支援、EPA/FTA,etc)と大分類し、その中から、学生諸君個人個人が考えているテーマをディスカッスしてゆくことにより、範囲をしぼってゆき、具体的に納得する「研究論文テーマ」を確定する。

地域文化概念について:
=ラテンアメリカ混合文化の素=
ラテンアメリカ地域は古代文明とヨーロッパ人との出会いにより、500年間で今日の「混合文化」が形成されたことは、学生諸君の皆さんが承知されている通りである。それを文化の一般的概念から、解き明かしてみると「その社会で支配的な」ファクターとして、「価値」、「イデオロギー」、「信仰」、「知識」、「言語」、「芸術」、「文学」の視点から考えてみると、この地域社会に交わった人々の中で、各々の人々(各方面からの)のそれは何であったか、といことを考えなくてはならない。すなわち、上記のファクターを古代文明を築いた「先住民」の人々、ヨーロッパ人から「征服者」として、この地域に来た、主にスペイン人、ポルトガル人の人々、そしてヨーロッパの産業革命、あるいは労働力や農業移民として移住した東洋人などの「移民」の人々は、「その社会で支配的」なファクターが異なるものを持ちながら、同じ地域で生活し、社会を形成して、「混合文化」を築いてきたと理解できます。これらの事柄をふり返って、熟考してみることは重要なことだと考えます。また、これは図示してディスカッスしてゆきます。

研究演習プロセス:
=最良のプロダクトを求めて=
最初に「ラテンアメリカ地域研究プロセス・フローシート」を図示し、説明し、ディスカッスして、現在までの基礎知識を認識することにより、最良のプロダクトを得るためにどのようなプロセスを選択すべきかを考えてもらうこととする。つぎに、テーマ分野をしぼりこみ、具体的「研究論文テーマ」を確定した後、「関心と選択、そして創造」「個人の創造力とドラフト・コンテンツ作成」を尊重して「コンテンツの作成」を行う。その後、目標ページ数を決めるとともに、「参考文献」の選定へ進む。そして、「INCEPTION REPORT」を作成する。これは、「方針・戦略・作戦」、「資料発掘・ディスカッション」、つづいて、「論文作成スケジュール作成」を行う。進行に従って、「PROGRESS REPORT」を作成して、研究の展開と調整を経て、「第1原稿準備」へと進む。
その後は、「DRAFT FINAL」作成に当り、コンテンツとの比較、詳細ディスカッション、
追記・レビューをくり返してゆく。
最後に「FINAL REPORT」(卒業研究論文)として、レビュー・修正、形式最終確認、文章完成、
最終評価と考えております。

<前期>
(1)基礎文献の精読を通じて、各自が「研究テーマ」を模索・設定する。
(2)資料文献の収集。(「アジア経済研究所図書館」にて実施する「アジ研ツアー」にて資料文献リサーチを行う。)
(3)資料文献一覧の作成。
(4)「研究テーマ(研究課題)」の提出。
注)4年次生:4月に「研究演習履修登録」および「卒業論文履修登録」を済ませ、後に提出する「卒業論文仮題目」を準備する。

<後期>
(1)順番に「研究中間報告」を実施する。(4年次生を優先する)
(2)4年次生は卒論執筆に当たる。(卒論はオフィスアワーを利用、またはメール等で個別に指導する。指導順番「ゼミ・メーリングリスト」を作成し、リストを回覧して調整する)
(3)11月中旬に卒業論文の初稿を提出。(執筆の進捗状況に応じて、卒論にするか、ゼミ論文にするか決定する)(KUIS、BHIにて「ゼミ合宿」の実施を計画)
(4)12月14日(火)までに卒論を完成させる。(卒論は1月初旬(2011年1月7日、11日)に教務課に提出)
(5)3年次生(または4年次生)は所定の期日までに「ゼミ論文」を提出する。