『忘れられた日本人』を読む。 本年度は、宮本常一の『忘れられた日本人』を読む。この本は宮本常一の多くの著作の中でもっとも有名なもので、その与えた影響はきわめて大きい。この本に登場する人々は、この本に取り上げられたことで、「忘れら」るどころか、きわめて有名な日本人になってしまったほどである。多くの研究者がこの本に衝撃を受け、そこから新しい研究が生まれていった。 。そうはいってもこの本は、難解なものではなく、宮本が調査した老人の話を記録で構成されており、当然ながら平明な言葉で老人の人生と生活が語られている。だが、その話の内容は、平凡なものではない。日本の社会に関する常識が否定され、見落とされていた重要な事実が発掘されていく。 しかも、事実を学ぶだけではなく、人が生きて、死ぬという根本的な問題について、さまざまな疑問や思いがけない展望が浮かび上がってくる。このへんが、この本の偉大なところだといえるだろう。 宮本常一は、民俗学の研究者で、日本史上最高の旅人である。彼は、日本の隅々まで、自分の足で歩いて旅をし、そこに暮らす人々の生活と文化を調査した。彼が訪れた場所の中には、それまで外部の人が入り込んだことのない場所が数多く存在したという。彼の歩いた場所を、その後の人間が自らの足でたどり直すことはほとんど不可能なことである。
毎回、担当者を決めて、割り当てられた部分についてレポートをおこなう。そこから討論をおこない、検討すべき課題を発見していく。
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