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    言語学特別研究
  社会言語学概論
YAZU NORIE 
矢頭 典枝
4単位 
1〜4 
前期 
50100500

この授業では、社会言語学という学問領域が扱うさまざまなテーマについて日本語で講義する。
前半では、北アメリカの社会言語学の主流である言語のバリエーション(変異)の諸相を、地域、社会階層、エスニシティ、性、年齢などの社会的要因を切り口にして取り上げる。授業では、自然会話や朗読の録音、映画、音楽などを視聴して、さまざまな言語のバリエーションに親しむ。また、言語変化のメカニズムについて解説し、言語の規範について考察する。
後半では、主に多言語社会における多言語使用の状況を取り上げる。北アメリカ、特にカナダで展開されてきたバイリンガリズム研究、言語政策研究に焦点を当てる。日本の言語政策についても触れる。

評価方法: 中間試験、および期末試験。出席を重視する。

テキスト名: プリント配布。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 社会言語学の研究領域
2. 「地域」による言語のバリエーション
 ・英語(1)アメリカ英語とイギリス英語の違い
3.      (2)アメリカ英語の発音の地域差
4.      (3)カナダ英語
5.      (4)その他の英語(オーストラリア英語、シンガポール英語など)
6.  ・フランス語(カナダ(ケベック州)のフランス語とフランスのフランス語の違い)
7. 「社会階層」による言語のバリエーション
    (ラボフのニューヨーク・デパート調査、サンコフらのモントリオール・フランス語調査など)
8. 「性(ジェンダー)」と「年齢」による言語のバリエーション
9. 「エスニシティ」による言語のバリエーション
  (1)日系人の英語
10.   (2)黒人英語
11. 「ソーシャル・ネットワーク」による言語のバリエーション
12. 言語変化のメカニズム
  (1)「実時間」と「見掛けの時間」―進行中の変化を捉える
  (2)アメリカ英語の形成
13.   (2)日本語の方言、標準語化の過程
14. 言語の規範、規範意識、言語差別
15. <中間試験>
16. バイリンガリズム:バイリンガルの定義・タイプ、臨界期仮説
17. バイリンガル教育:カナダのフランス語イマージョン教育
18. 多言語社会における言語選択
  (1)ドメイン、ダイグロシア
19.   (2)言語維持と言語シフト
20.   (3)コードスイッチング(定義・タイプ)
21.      〃 (規則・実例)
  (4)アコモデーション理論
22. 言語接触の構造的側面
  (1)ピジンとクレオール
23.   (2)干渉・借用・過剰矯正
24. 言語政策と言語問題
  (1)言語計画論(地位計画と実体計画など)
  (2)世界の言語政策
25.   (3)カナダの公用語政策
26.   (4)ケベック州のフランス語化政策
27. <期末試験>