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    意味・語用論
  文法と談話の接点
TANAKA YUJI 
田中 裕司
4単位 
2〜4 
後期 
50100400

言語の最も重要な機能は情報伝達であるが,情報,即ち,意味は個々の発話場面において文の形で伝えられる.そして,文は伝える意味によって様々な形をとると言われる.例えば,The hunter shot the bearとThe hunter shot at the bearとの違いはatの有無だけであるが,これらふたつの文は表わす状況が異なり,それに応じて意味も異なる.したがって,それぞれ使う場面が異なるのは明白であろう.ところが,表わす状況が同じでも,Mary sold a book to JohnとJohn bought a book from Maryのように,談話の主題の違いによって使い分けられる表現形式もある.さらに,Open the door pleaseとCould you get the door for meのように,発話の意図は同じでも,話し手と聞き手の関係によって,当該の場面で使用できるかどうかが決まる場合もある.このように,文の意味は一枚岩ではなく,幾つかの異なる種類の要因が重なりあって構成されている.本講義では,主に英語の文法現象を資料として,文の意味の中でもテクスト形成的機能と対人関係的機能について学ぶ.

評価方法: 授業への参加態度、宿題の提出状況、中間試験、期末試験にもとづいて判定する。

テキスト名: 未定

注意事項: 言語研究の基礎的知識は前提として話を進めるので、履修生は「英語学概論」あるいは「言語学入門」の単位取得済みである者に限る。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 文の構造と談話機能
2. 談話構成の要因:旧情報と新情報
3. 談話構成の要因:情報の焦点
4. 談話構成の要因:主題と題述
5. 移動現象と談話機能:左方向の移動(1)
6. 移動現象と談話機能:左方向の移動(2)
7. 移動現象と談話機能:右方向の移動
8. 移動現象と談話機能:両方向の移動
9. 前提の現われ方:前提と焦点
10. 前提の現われ方:ふたつの分裂文
11. 前提の現われ方:叙実述語とその補文
12. 従属節における主節現象:断定述語とその補文
13. 従属節における主節現象:補文内の倒置現象
14. 中間試験
15. 発話行為とは何か:基本的な特性
16. 発話行為とは何か:発話内効力
17. 発話行為とは何か:適切性条件
18. 遂行分析:行為遂行文の諸相
19. 遂行分析:問題点
20. 間接発話行為:間接発話行為とは何か
21. 間接発話行為:さまざまな間接的な表現
22. 間接発話行為:間接発話行為と統語現象
23. 間接発話行為:発話効力の緩和
24. 会話の含意:言外の意味
25. 会話の含意:認定基準
26. 会話の含意:会話上の行動指針から逸脱する
27. 会話の含意:ことばの丁寧さ
28. 期末試験