ヒトが身体的に特別恵まれているわけではないのに、地球上のどの生物より、「繁栄」できたのは、情報を正確に伝達・記録し、どんな複雑な思考も表現することを可能にする「ことば」も持っているからです。本講義では、ことばの1つである英語を通して、人間のコミュニケーション、知的活動、社会活動が、いかに「言語の持つ規則性と特性」に負っているかを概観します。そうすることにより、「真に言語(英語)が使えるようになる」とはどういうことかを、改めて認識し、大学で英語を学ぶことの意義・重要性が確認できるでしょう。前半は、「ことば(英語)」を学ぶとはどういうことかという問いから出発し、英語の変遷、英語の「語」「句」「文」の構造を考察し、高校までの「覚える英語の規則」ではない、「ヒトの知的認知体系を司るシステムに見られる規則性を探し出す」という言語学的視点から英語を考えます。後半は、文の意味と運用、ことばと社会、英語の音の体系と方言の違い、言語と脳、言語習得など、「ことば」に関わる様々な事象を、「英語」の観点から考えます。 テキストは英語で書かれており音声CDも付いています。講義はその内容をさらに深める形で進みます。英語で「骨のあるアカデミックな内容」を把握できるようになることは、大学の英語、真に英語を使えるようになるための入り口です。各章毎に「理解の確認」と「練習問題」が日本語でありますので、自分の英語での理解をチェックできるでしょう。十分な予習と復習が求められますが、それを確実にやれば、英語学・言語学の理解が深まると共に、一段上の英語の使い手となれる筈です。
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