前期(火・3)時間割表へ
    憲法IA
  基本的人権
MAKIMOTO KIMIAKI 
牧本 公明
2単位 
1〜4 
前期 
30002901

 本講義の目標は、社会の様々な問題を「憲法的」に思考する視点を獲得することです。憲法という名前の法は「法典」という形で存在していますが、憲法上の問題は社会のいたるところに存在しています。分かりやすいところにあるものもあれば、一見しただけでは分からないところに隠れているものもあります。社会に存在する憲法問題を発掘する眼力を身につけ、他者の基本的人権に対して敏感になることで、憲法をただの紙に書かれた無味乾燥な言葉としてではなく「生きた」ものとして捉えることができるようになるでしょう。

評価方法: 原則として期末試験の結果を成績評価としますが、他に出席又は授業中に実施する小テストの結果も総合的に考慮に入れて評価を行います。

テキスト名: 初宿正典・高橋正俊・米沢広一・棟居快行いちばんやさしい憲法入門〔第3版〕有斐閣2005

  テキストの他に小型の六法を持参してください。例えば、『デイリー六法(平成22年版)』(三省堂)(1,890円)等があります。

注意事項: 授業計画はあくまで目安であり、講義の進行状況により変更の可能性があります。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. イントロダクション
本講義を受講する際の注意事項等の説明を行います。
2. 憲法の基本原則
テキストの内容に入っていく前提として、高校で学んだであろう憲法の知識を確認し、その上で憲法学上の考察を加えます。
3. 基本的人権の享有主体(子供の人権と外国人の人権)テキスト1章・2章
人権の「享有主体」について考察します。なぜ子供の人権が成人に比べて大きい制約を受けるのか、また、日本国憲法の基本的人権は、「日本国民」のみに保障が及ぶのでしょうか。外国人の参政権についても考えてみましょう。
4. 幸福追求権の内容 テキスト3章・4章
「幸福追求権」や「新しい人権」の生成について「プライバシー権」と「自己決定権」を題材に考察します。基本的人権とは憲法に具体的に書かれてあるものに限られるのでしょうか。自分のことは自分で決める?昼食のメニューから中絶まで、自分のことを自分で決めるということと憲法の関係について考えます。
5. 法の下の平等1(男女平等)テキスト5章
「男女平等」の示す憲法上の意味について具体的制度などを素材に考察します。
6. 法の下の平等2(尊属と卑属)テキスト6章
尊属と卑属という法律概念としての「差別」と平等との関係を最高裁判例を素材に考察します。
7. 信教の自由 テキスト7章
国家と宗教の関係についての問題、例えば靖国神社の問題などを題材にしながら考えていきます。
8. 表現の自由1(「有害」表現と憲法21条)テキスト8章
テキストでは「猥褻」概念、芸術性と猥褻性の関係などを題材にしていますが、それに限られずに様々な問題を素材に表現の自由の保障範囲や意義などを明らかにしていきます。
9. 表現の自由2(犯罪扇動的表現と憲法21条)テキスト9章
表現の自由1と同様にテキストの題材に限られることなく、憲法21条の意味について考えていきます。
10. 教育権 テキスト10章
子供は「国」の宝?。子供を教え導くのは「誰だ」?。国家なのか親なのか、それとも教師なのか。教育を巡る様々な問題を憲法学的に考えていきます。
11. 生存権 テキスト11章
生存権のいう「生存」とはただ「ヒト」として生きていくことのみを意味しているのでしょうか。人間としてどのような「生」を全うするのか、憲法と「生」について考えます。
12. 営業の自由(経済的自由)テキスト12章
日本経済は自由主義経済ですが、様々な規制が存在します。規制の正当化の根拠はどこにあるのか。経済的自由と精神的自由の規制の相違についても学びます。
13. 死刑制度と憲法 テキスト13章
死刑制度と憲法の関係について考えます。「残虐な刑罰」の意味、国際条約など様々な問題を素材に、普段はあまり考えない「死刑」について考える機会としてください。
14. 予備日
15. 期末試験