後期は北海道のアイヌ文化について学んでいく。アイヌ文化そのものは明治時代以降、日本化の政策のもと本来の姿を急速に消してゆき、言葉も生活手段も日本化されることとなった。本来自然民族として、狩猟・採集の生活を続けてきたアイヌ民族にとって、農耕を主とする生活への転換は生活を180度変えることであり、多くの苦難を伴うものであった。土地私有の観念など持たなかった(持つ必要のなかった)彼らにとって、次々北海道に入ってくる本州からの日本人との共存は、酒何升かで土地をとられた話が語られるような大変な事態であり、気前の良さを美徳とする(ケチこそ忌むべき態度)彼らの生活信条にも否応のない変化をもたらすものであった。アイヌ文化を学ぶことは否応なく彼らのそうした歴史を学ぶことでもあり、日本人として少々つらい部分もあるが、しかしそうした文化があり、歴史があったことを学び知識を持つことは、日本人として大事なことではないだろうか。現在北海道の人口はおよそ560万人、江戸時代までのアイヌの人口の最も多かった時でおよそ2万5千〜3万人、膨大な数の日本人が北海道に入ってきてアイヌ民族を飲み込み、現在に至っているのである。今北海道でアイヌ文化が生きているわけではない。しかしアイヌ系住民が己のアイデンティティを求めてアイヌ語の勉強をし、文化を学んでいることが新聞などでたびたび報じられる。我々も少し努力をしてみようと思う。
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