前期はインドの文化を見ていく。とはいっても、10億の人口を擁するインドはあまりに大きく、多様で、ヒンドゥー文化でくくればよいという単純なわけにはいかない。人種的にもインド・アーリアン系、先住のドラヴィダ系、ムンダ系をベースに様々な混血がみられ、そこにさらに外来のものも加わり、言語にいたっては連邦公用のヒンディー(語)のほか、20を超える言語が指定されており、方言も含めるとその数は2000を超えるともいわれ、中には所属不明の孤立語もみられる。人々の生活に最も影響を持つ宗教も80%まではヒンドゥ教であるが、しかしそのヒンドゥ教自身も多くの土着の信仰を取り入れながら成立してきたものであり、その過程でいくつかの派に分かれて簡単にひとくくりにはできない。他に13%くらいを占めるイスラム教、さらに仏教、ジャイナ教、シク教などの少数宗教、さらには土着の信仰をそのまま残す部族など、その多様性こそがインド文化の最も大きな特徴といえるかもしれない。 講義では、こうしたインド文化の特徴をいくつかの方面から取り上げながら説明を加え、さらに先住民族についてもいくつか取り上げて、その生活についてみていく予定である。
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