「日本人は勤勉だ」「私はキリスト教徒です」「私は猫派です」から「僕はウナギだ」「こんにゃくはやせる」にいたるまで,日本語の「XはYだ」型構文はさまざまな表現価値をになう. XとYという二つの要素を,日本語ならば「だ・である」,英語ならBE,フランス語ならETREなどの繋合動詞で関係づけるだけのこの構文がなぜ多様な意味価値をもちうるのか,実際の用例を観察しながら考えていく.とくにXが人間である場合に的をしぼり,「カテゴリー化」,「ステレオタイプ」,言語における「クラス」「セット」「ペア」の問題等に焦点を当てる.日本語だけでなく,自分が学んでいる言語ではどのようになっているのか,考えていくことが望ましい. 授業では文献を読み,具体例を収集しながら議論を深めていく..本演習のテーマに多少なりとも関連があれば,どのようなテーマを選んでもかまわないので,自分の問題意識を明確にしていきたい.なお,前期,後期とも口頭発表1回とレポートの提出が求められる.前期末までに自分の関心をはっきりさせ,何を知りたいのかおよその方向を見きわめたい. 後期は前期のレポートで取り上げたテーマをさらに掘り下げ,発展させてレポートにつなげる. なお,4年生で卒業論文の執筆を希望する学生は,後期は前半に1回,後半に1回,計2回の口頭発表を行ない,十分に議論をした上で卒論を執筆することとする. 具体的な授業の進め方については開講時に教室で指示する.
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