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    児童文化論A
  ファンタジーにおける欲望・家族・ジェンダー
TAKAKUWA YOKO 
高桑 陽子
4単位 
1〜4 
前期 
50303401

恋人、狂人、詩人は想像力にあふれているので、他の人の目には見えないものが見える、とシェイクスピアはいう。
ファンタジーはまさしく想像力の産物である。では、ファンタジーは荒唐無稽なフィクションにすぎないのだろうか? 私たちが生きている現実社会とはまったく無関係なのだろうか? それとも、ふだん私たちには見えていなかったことに気づかせてくれるのだろうか?
ファンタジーの主人公はしばしば、今まで暮らしていた社会とは価値基準がまったく異なる世界を旅することを余儀なくされる。そして日常とは違う視点から自分を見つめなおしたり、さまざまな出会いをとおして他者との関係の新しい可能性を模索したりする。この点で、ファンタジーは、私たちがあたりまえに思っている「常識」や「現実」の価値観を異なる視点から問題化する。
本講義では日英ファンタジーの旅をする主人公に焦点を当て、J. R. R.トールキン『王の帰還』、小野不由美『月の影 影の海』、上橋菜穂子『精霊の守り人』を読む。さまざまな家族像や女性の表象を分析して、無意識の欲望、ジェンダー、家族の問題を考えながら、他者との多様な関係の可能性を探る。
テクスト読解を中心に講義を進めるが、映画やアニメなどの視覚教材も併用して、ファンタジーを映像化する可能性や原作との相違の可否も論じたい。

評価方法: 平常点と期末試験により評価する。

テキスト名: J. R. R.トールキン王の帰還(上・下)評論社2001
小野不由美月の影 影の海(上・下)講談社文庫2000
上橋菜穂子精霊の守り人新潮文庫2007