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 「君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン」、「めぐり逢ったすべてのものから送られてるサイン」。ミスチルのヒット曲「Sign」(作詞作曲:桜井和寿)の一節は、私たち人間が他者(他の命あるものも含む)に、社会に向けて絶えずメッセージ(言語や言語ならざるもの、すなわち総称してサインから成る)をサーブし、しかも同時に世界の、他者の発するメッセージを五感を通してレシーブしながら生きている、つまりは私たちが“他のものとの深い関わり(メッセージのやり―取り)”の中で生きていることを知らせてくれる。こうしたコミュニケーション世界を豊かに色づかせているのは、言語記号(verbal sign)というよりは非言語記号(non-verbal sign)であり、具体的には言葉がもつ音声の強弱といった話し方、文字の書き方、沈黙、会話する時の相手との距離、笑顔、身振り・手振り、視線、衣服と着こなし、ピアスなどの装身具、猫のすり寄りも……。これらの非言語記号は、文化によって“理解の仕方(意味づけ)”が異なるため、さらには異文化コミュニケーションへとリンクしていく。こうした広がり(学際性)をもつ非言語コミュニケーションの学びを通して、人間が他者や他の命あるものや世界と協同して織りあげる“豊饒な意味の世界”に気づいて共に味わい、めぐり逢ったものからの多様なメッセージを受容し応答できるマインド(特にempathy、hospitality)を共に創出できれば、そんなことを考えている。

評価方法: 出席点とテスト(「集中講義」最終日の第五限目に予定している)。詳細は第一回目の講義寺に説明する。

テキスト名: テキストはなし。講義時に講義レジュメと資料のプリントを配布し、これを使用して授業を行う。参考文献は講義時に紹介する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 授業法・評価法・配付プリントの説明など。「人間コミュニケーションの仕組み」(コミュケーションを以下コミと略)を取りあげ、この中に非言語コミを位置づける。公式は「人間コミ=言語コミ+非言語コミ」。
2. 人間コミの仕組みの中心には「メッセージの<やり(サーブ)―取り(レシーブ)>」がある。このメッセージをつくる「記号(サイン)」とは何かについて、ヘレン・ケラーを主人公とした映画『奇跡の人』(1962年制作の古い方の作品)を通して考える。公式は「記号=言語記号+非言語記号」。
3. 「例えば私の視線や何気ない仕草が相手に何かを伝えてしまうのは、何故だろうか」について、つまりは「コミュニケーションが可能なのは、何故か」について考える。公式は「サインの構造=シニフィアン(記号表現)+シニフィエ(記号内容)+コード(記号のもつ決まり、具体的には日本語の辞書と文法)」。「人間コミを可能にしているもの=コード(code)+意味作用(signification)」。
4. 第四回は第三回の続き。
5. 以上の講義内容をもとにして「コミの事例分析(例えばインターネット・コミと直接に対面した状況での対人コミの比較)」をし、非言語コミにおいて「やり−取り」される非言語メッセージをつくる非言語記号を分類する。そして、この分類をもとに「映像」を使用しながら順に考察していく。
6. (1)副次言語(paralanguage、具体的には話し方)。文字の書き方も含めて考察する。
7. (2)身体動作学。例:手振り、ジュスチャー、表情など。
8. (3)接触学。例:相手の身体への接触。視線・アイコンタクトを含めて考察する。
9. (4)近接空間学。例:対人空間など。(5)時間概念学。例:待ち合わせ時間の捉え方など。
10. (6)色彩心理学。例:衣服の色など。
11. (7)対物学。ボディー・メッセージ。例:アクセサリー、衣服、香り、匂い、体臭など。(8)その他。
12. 人間コミと、他者を自分とのコミの場へウェルカムして迎え入れる「ホスピタリティ(hospitality)の精神(コミの場を暴力の場にしない心の持ち方)」について。
まとめ。