スペインでは、グローバリゼーションの潮流ともあいまって、急速な経済の国際化が進展している。 まず第1は、EU経済通貨統合のインパクトである。2002年から現金ユーロを採用し、長年使い慣れたペセタが消滅した。この変化は現代スペイン経済に大きな影響を及ぼしている。マクロ経済の安定化、特に財政再建では顕著な成果が見られ、財政赤字を是正して財政黒字を達成している。 第2は、EUの拡大と深化のプロセスの中で、急増する移民の波にどう対処したらいいのかなど、新たな問題に直面している。今のところ、移民増は経済成長率の上昇につながるなどズペイン経済にプラスの効果をもたらしている。なぜなら、少子高齢化が急速に進む中で、移民増によって総人口が増え、これがスペイン経済の潜在成長力を高めているからである。 第3には、2008年秋以降のアメリカ発金融危機の波及によって、スペイン経済は激しい景気後退に見舞われており、建設業の苦境、失業の急増などに直面しているが、どのような経済政策、社会的対応を採っているのか検証したい。 これらの課題を具体的に学ぶために、EUとスペインの経済関係、ラテンアメリカとスペインの経済関係、外国投資と貿易との連関、経済政策、金融市場、労働市場など現代スペイン経済の主要な側面について考察を行う。
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