人々が生活を営むために結ばれている人間関係のネットワークは社会を形成する。しかし、この「社会」をはっきり認識するのは難しい。だから、学問としての社会学が生まれたのである。 社会学者の間でかつて「社会学とは何か」に関して論争が行なわれた。われわれは、社会学を学ぶために、まず「ミクロ社会」、「マクロ社会」、「狭義の社会」、「広義の社会」などの領域を区別し、「個人の行為」、「社会システム」などの概念を理解しなければならない。また、社会学研究の諸部門について考えてみる必要がある。これは「理論社会学」、「領域社会学」、「経験社会学」である。 社会学の定義、根本概念、諸分野などの基礎知識を手に入れると、社会学の歴史を勉強する段階へ進むべきであろう。人類社会の近代化とともに、社会学は西洋で生まれたのであり、また産業文明を中心とする近代文明とともに世界中に広げるようになった。社会学者の第一世代、第二世代、第三世代は、それぞれ何を考え、社会変動に対してどのような洞察を行なったか。彼らが注目した問題は、現在われわれが住んでいる非西洋後発社会において、またわれわれが学んでいる社会学にとってどのように変化をもたらしたのか。これらの問題を考えながら、現実社会を見る目をやしなうのは、この授業の目的である。
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