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    哲学IA
  ロゴスと哲学
UEDA KAORI 
植田 かおり
2単位 
1〜4 
前期 
30000401

 「理性」という言葉を英語で表現すればreasonとなる。しかし、他方で「理由」という言葉を和英辞典でひくと、またreasonとなる。さらに「推論」はreasoning、「合理的」はrational、となる。見ただけで分かるように、これらは同じルーツの言葉(ラテン語のratio)である。しかし、実はこれらの語群自体の更なるルーツがあって、それは「論理的なlogical」や「論理学logics」などの言葉も吸収するlogosというギリシア語である。
 logosという言葉が以上のすべてを含む概念をもつのであるが、これらはいずれも、大学で学問する学生には身近で必須の概念であり、しかも大学および学問科学の伝統を作ってきた西洋文化の根本を為す概念でもある。つまり大学での学問研究のルーツは、古代ギリシアにおいて形成された「logos(言葉、理性、理法、適切な割合etc.)」の伝統なのである。
 考えてみれば、西洋思想の歴史の特徴には言葉をめぐる反省がいつでもつきまとってきた。常に、文化は言葉の形式で以後の時代に受け継がれ、その言葉の持つ歴史的な意味や概念、特殊な文化における特異な言葉、そして言葉と言葉の特殊な組み合わせが、後世に伝わり、結果として「学問」や「文学」など文化が生じたと言うことができる。それは現代の文化を理解する基礎でもある。
 本講義では、西洋思想、西洋文化の基礎となるlogosの思想について、基本的な部分を講義したい。


評価方法: 期末試験で評価する。

テキスト名: 授業内にて適宜紹介する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. イントロダクション:哲学とは何か
2. 哲学以前:神話的言葉の伝統1
3. 哲学以前:神話的言葉の伝統2
4. 伝統への反省:自然哲学者と詩人哲学者
5. 詩人哲学者1
6. 詩人哲学者2
7. ソクラテス
8. ソクラテスとプラトン
9. プラトン:エロスと哲学
10. プラトン:対話の技術1
11. プラトン:対話の技術2
12. プラトン:ロゴスとミュートス
13. まとめ