前期(火・2)時間割表へ
    歴史学IC
  近代イギリス社会史
ENDO MIYUKI 
遠藤 美幸
2単位 
1〜4 
前期 
30000203

 18世紀から20世紀初頭にかけての「イギリスの民衆社会」について、各々のテーマを社会史的な視点から論じ、その内実を多角的に明らかにする。この場合、中産階級から見た「民衆社会」という視点も含むものとする。この講義の特徴は、民衆社会の諸相の歴史的背景として、「階級」と「帝国」という問題を重視している点である。具体的には、労働者階級だけでなく中産階級以上の人々も対象にしていること、イギリス本国だけでなく帝国植民地にも言及し、さらにイギリス人以外の移民者も対象とする。
 毎回、レジュメを配布すると共に、当時の挿絵や絵図などを史料として紹介したり、映像なども取り入れた分りやすい講義を心がけたいと考えている。
 この講義の最終的な目的は、近代イギリス社会史から導かれた歴史の集積が、現代のイギリス社会に、ひいては日本に暮らす私たちに、いかなる意味をもつのかについて一考することにある。

評価方法: 3回のレポート課題の提出及び、毎回の授業の参加状況により総合的に評価する。授業の最後に質問や意見などを記入した「リアクション・ペーパー」を提出してもらう。出席が半分に満たない学生は不可となる。

テキスト名: 原則としてテキストは使用しないが、参考文献については最初の授業時に指示する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 歴史研究の対象と方法−社会史とは何か?
2. 前近代的な民衆社会の概要(家族、娯楽、仕事、衣食住)
3. 前近代的な民衆社会の衰退の背景(商業革命と工業化)
4. 産業革命期の民衆社会の概要(家族、娯楽、仕事、衣食住)
5. 中産階級による「文化的統制」(娯楽、紅茶文化、コーヒーハウス)
6. 19世紀の「余った女性」の問題と女性移民
7. 大英帝国と移民の問題(子供、黒人、ユダヤ人、アイルランド人)
8. 大英帝国の繁栄と衰退(衰退の原因と帝国植民地の役割)
9. ウィリアム・モリスと保全及びエコロジー運動
10. イギリス社会史研究の意義と展望