前期(水・1)時間割表へ
    研究演習-1
  日英語比較対照表現論。 英語の発想に基づく英語表現と、日本語の発想に基づく日本語表現の比較対照研究
HISAIZUMI TSURUO 
久泉 鶴雄
4単位 
3〜4 
通年 
60500101

 日本人と英米人とが、同じようなことを言おうとする場合、単語や構文が似ていて、互いに一対一の対応関係が見られる場合、例えば、「春が来た」と Spring has come のような場合と、表現の仕方がまるっきり違う場合、例えば、「それしか知らない」と That's all I know 、のような場合があります。
 後の場合のように、言おうとすることがほぼ共通でも発想の仕方が異なるため、異なった表現のしかたをする問題を研究し、日本語の発想にとらわれない英語らしい表現をするための原理を発見し、身につけるのが、このゼミの目的です。
 日本語と英語の間には、単語や文法の違いのほかに、上に述べたような表現方法の違いがあるので、文法的には合っていても自然な英語表現ができない場合があるということは興味深いことです。 
 このような日英語の表現の違いは、異なった文化的背景を担った私たちの物の考え方、感じ方の違いによって起こります。
 日本語と英語のどの辺にズレがあるのでしょうか? 私たちは、このような違いに日頃うすうす気づいてはいるのですが、このゼミではそれをより明確な形で捉えて、英語による発信型コミュニケーションに役立てていきたいと思います。

評価方法: 授業に対する積極性と研究意欲の程度、期末研究レポートの内容と形式で評価します。

テキスト名: 国広哲弥編著:日英語比較講座 第4巻 発想と表現大修館書店1982

注意事項:  このゼミを初めて履修して卒業論文を執筆しようという学生は、私が今年度一杯で退職しますので、二年間連続して履修できず、卒業論文を執筆できません。卒業論文を書くためでなければ、このゼミの履修に問題はありません。それから、レポートを書くのが苦手な学生がいますが、メモでいいから日ごろ気がついたことを書き止めて見ましょう。書けば考えが湧き、それを発展させることができます。あとで、書いたことを分類、整理すればレポートが出来上がっていきます。なお、もし履修希望者が30名を超えたら抽選で30名を選びます。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 「それしか知りません。」(否定)と “That's all I know.”(肯定)の類例
2. 日本語の肯定表現が英語の否定表現になる場合と, その逆の場合
3. 英語の線的表現が日本語の点的表現になる場合
4. 同時性を示す as 副詞節は関係代名詞節に訳した方がよく意味が伝わる
5. 日英語における視点の位置のずれ
6. 私中心の日本語表現とyou 中心の英語表現:「これあげます。」You can keep this.
7. 冗長な英語と簡潔な日本語、冗長な日本語と簡潔な英語の対比
8. 日英語における待遇表現の違い
9. 僕はコーヒー、わたしは紅茶よ: I am coffee. I am tea.
10. Yes/Noと はい・いいえ
11. 文化の違いと語彙の違い
12. イディオムに見られる発想の違い
13. 挨拶表現の違いと発想の違い
14. 談話構造の違いと発想の違い
15. 個体を際立たせる英語、個体を全体に埋没させる日本語
16. 動作主としての人間を際立たせる英語、動作主の人間を出来事に隠す日本語
17. 個体を志向する英語、連続体を志向する日本語
18. <モノ>的表現を志向する英語、<コト>的表現を志向する日本語
19. 個体表現を義務付ける英語、個体表現を任意にまかせる日本語
20. BE言語の日本語、HAVE言語の英語
21. 人間志向性の英語、<モノ・コト>志向性の日本語
22. 使役主の支配が強い英語、被使役主の自主性が高い日本語
23. 動作主を抑圧しない英語、動作主を非動作主に変える日本語
24. 受動態でも隠しきれない英語の動作主、他動詞を自動詞に変えて動作主を消す日本語
25. 研究発表
26. 研究発表
27. 研究発表
28. 研究発表
29. 研究発表
30. 研究発表