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    東南アジア社会論II
  東南アジアの社会比較
IWAI MISAKI 
岩井 美佐紀
2単位 
1〜4 
後期 
50402400

 一般的に、東南アジア農村社会は疎人口世界であり、looseな社会構造をもつといわれる。人間関係は基本的に一対一のネットワークで結ばれ、社会は圏的な広がりをもつ。一方、人口稠密なインドネシアのジャワ中東部やベトナムの紅河デルタの農村はメンバーシップが明確で、村の内外を分けるtightな社会といわれている。このような社会関係・社会構造の相違はいかなる要因で生まれるのであろうか。
 本講義では、それぞれの開拓の歴史および外部世界との関わり方、家族親族構造などを取り上げ、社会形成プロセスに見られる社会関係・社会構造の特質を明らかにしていく。具体的には、教員が研究対象とするベトナムのメコンデルタと紅河デルタの映像資料やデータなどを提示する。さらに、東南アジア農村社会について議論されてきたいくつかの理論や論争を紹介し、視角やアプローチの仕方によって異なる東南アジア社会像を明らかにした上で、地域研究とは何かについて共に考えたい。

評価方法: 出席を重視する。毎回のリアクションペーパー、 3回の課題(テキストの要約・感想)の提出、期末試験の結果を総合的に判断して評価する。なお、期末試験は、持ち込み不可。

参考文献: クリフォード・ギアツインボリューション−内に向かう発展NTT出版2001
水野浩一タイ農村の社会組織創文社1981
ジェームス・スコットモラル・エコノミー−東南アジアの農民叛乱と生存維持−勁草書房1999

  課題文献はユニ・ポストで購入すること。

注意事項: 東南アジアの社会・文化、特に農村の人々の暮らしに興味のある学生の受講を望む。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 「ルース」な社会と「タイト」な社会の基本概念
生態的・地理的環境
家族親族関係
開拓・移住パターン
2. 「ルース」な社会の特徴
疎人口世界
家族親族
メンバーシップ
農業の性格
ベトナム・メコンデルタ、タイ・東北部、マレーシア・半島部
3. 「タイト」な社会の特徴
人口稠密な世界
家族親族
メンバーシップ
農業の性格
ベトナム・紅河デルタ、インドネシア中東部
4. 東南アジア農村社会論争
モラルエコノミー vs. ポリティカルエコノミー
農業のインボリューション(内的発展)vs. エボリューション(進化)
5. まとめ
6. 期末試験