後期(木・4)時間割表へ
    ヨーロッパ政治経済論II
  経済通貨統合と現今の問題群を解明する!
TOKADO KAZUEI 
戸門 一衛
2単位 
1〜4 
後期 
50401800

 2002年に誕生したEUの共通通貨ユーロはドルと並ぶ世界の基軸通貨となった。マルク、フラン、ペセタなど慣れ親しんだ国内通貨を捨てて、なぜ共通通貨を採用するのか。そのメリットは何か。デメリットはないのか。複数の国々が単一通貨を採用し、金融政策を司る意味は何なのか。話す言葉や生活習慣が異なり、経済発展水準も異なる国々が一つの通貨で結ばれるという事実は何を意味するのだろうか。税制や財政政策は各国の主権に置かれ続けている中で共通金融政策の適切な舵取りは可能なのだろうか。以上のような問題意識を念頭に置きつつ、欧州経済通貨統合について考察する。
 さらに、加盟国数が増大し、機能面でも複雑になったEUの意思決定プロセスや政策に欧州市民の意思を反映させるために、EUは「憲法」を成立させようとしてきたが、フランスやオランダにおける批准国民投票で否決されてしまった。改めて「改革条約」として簡素化されて提示されているが、その内容は何か。また、欧州には大量の移民が押し寄せている。欧州がいかなる移民政策をとっているのかについも考察したい。
 欧州が直面している重要テーマにつき、このような問いかけをし、その解答を模索するのが本講義の目的である。

評価方法: 出席点 約25点、自由課題レポート 約15点、ミニレポート 3回(各回5点)15点、論述試験 約45点の計100点で評価する。

テキスト名: 特定の教科書は使用しない。ハンドアウト・レジュメを配布する。適宜、有益な参考文献を紹介する。

注意事項: 「ヨーロッパ政治経済論I」を履修済みであることが望ましい。3年次から戸門のゼミ(「地域・国際研究演習」=「研究演習」)を履修し、いずれは卒論を執筆したいと希望する学生は、この講義をそれまでに履修しておくか、同時履修することを強く勧める。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. EMU(経済通貨統合)とは何か? 共通通貨のメリットとデメリット
2. 国際通貨体制の変化(ブレトンウッズ体制の動揺)
3. EMS(欧州通貨制度)と「通貨の嵐」
4. EMU(経済通貨同盟)のシナリオ:マーストリヒト条約
5. ユーロが流通しているEU諸国の現状と課題
6. EU「改革条約」の内容:EUが目指すもの
7. 新たな課題:中東欧諸国の加盟
8. 新たな課題:トルコのEU加盟交渉
9. 新たな課題:移民問題
10. 今後のEU:変化の方向とインプリケーション(含意)
11. EUと日本:欧州型社会経済システムの意味