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    言語哲学I
  記号論と文化現象
HIKASA KATSUSHI 
樋笠 勝士
2単位 
1〜4 
前期 
50100600

 昨年度まで、本科目では、言語記号論、近現代の言語起源論、精神分析の言語学、日常言語派の言語哲学、言語行為論、「ジェンダーと言語」、コミュニケーション論という主題で講義してきた。今回は、昨年度、芸術を契機としたコミュニケーション論を扱ったテーマの延長線として、記号論の基礎とその応用としての芸術記号論を論じたいと思う。
 あらゆる記号論において、議論の出発点や理論の規範として「言語」が注目される。言語は、その音声や文字が「意味」というものを「指し示す(=記号作用)」働きを常にもつからである。ここから、あらゆる現象に記号作用があると見立てる考え方が導出される。例えば、或る時期や特定の文化のファッションにおける「モード」として知られる衣服デザインの傾向性は、その時期や文化に相応しい「意味」を「指し示している」のであり、また、或る一定の時期のハリウッドの映画作品群にある一定の傾向性(流行)は、或る社会的文脈を「意味」として「指し示している」、というように。このように、文化的現象は何かの「意味」を放つ存在であるとしうるが、その中でも芸術現象は独自の「意味」を放ってきたとしうるのである。これらの考え方を支える理論的根拠とその実際の場をみていきたいと思う。

評価方法: 出席点、リアクションペーパー、試験等にて総合的に評価します。

テキスト名: 授業中に紹介します。

注意事項: 積極的に参加してください。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 言語学と哲学と言語哲学
2. 言語哲学の主題とその射程
3. 言語哲学と記号論
4. 記号論の伝統的理論
5. 近現代の記号理論
6. 多様な文化現象と「意味」の意味
7. 芸術現象の独自性
8. 事例研究1
9. 事例研究2
10. 事例研究3
11. 記号論における通時性と共時性の問題
12. 規範としての言語と芸術作品の意味論的位置の比較考察
13. 後期講義への架橋