後期(金・3)時間割表へ
    ラテンアメリカ現代史II
  現代ラテンアメリカと21世紀の展望
YAGINUMA KOICHIRO 
柳沼 孝一郎
2単位 
2〜4 
後期 
43401000

 ラテンアメリカの1980年代は「失われた10年」と呼ばれるが、1982年9月にメキシコで発生した金融危機に象徴されるように、ラテンアメリカ諸国は深刻な経済危機に陥り、ハイパー・インフレーションによって国民生活は困窮し、一部の国ではゲリラ活動が活発化し政情不安を招いた。また80年代は、米国のレーガン政権の干渉によって「中米紛争」が泥沼化し、カリブ海域では政治的混迷を深めた時代でもあった。
 後期では、「冷戦」の終結とラテンアメリカ、北米自由貿易協定(NAFTA)が締結された1994年元旦に武装蜂起したメキシコの「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」などのゲリラ闘争、ネオリベラリズム(新経済自由主義)とグローバル化、そして21世紀の今日、反米左派政権が誕生する背景を検証し、ラテンアメリカの21世紀を展望する。
 授業内容は以下のとおりであるが、適宜、ビデオを鑑賞しながら授業を進める。

評価方法: レポート課題提出(50%)、ビデオ鑑賞についてのリアクションペーパー提出(20%)、授業出席などの平常点(30%)を総合して、評価する。

参考文献: 後藤政子新 現代のラテンアメリカ時事通信社1993
加茂雄三 他ラテンアメリカ(国際情勢ベーシックシリーズ(9))自由国民社1999
遅野井茂雄・編冷戦後ラテンアメリカの再編成アジア経済研究所1993

  適宜プリントを配布する。

注意事項: ●ラテンアメリカ地域研究に関心がある、あるいはラテンアメリカに留学または国際協力の分野に進みたいと希望する学生諸君、さらにはラテンアメリカと関係するビジネス界に進むことを希望する学生諸君の積極的な参加を期待したい。
●より深く理解するためにも、「ラテンアメリカ史概論I(前期)・II(後期)」もしくは「ラテンアメリカ研究入門I(前期)・II(後期)」など関連の科目を履修済みか、同時履修が望ましい。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 総論:21世紀のラテンアメリカを学ぶために

[I]現代のラテンアメリカ
      (1)危機の1980年代:累積債務と経済危機
      (2)「中米紛争」の構図
      (3)ネオリベラリズム(新経済自由主義)の1990年代:
       冷戦の終結とラテンアメリカ

[II]ネオリベラリズムとグローバリゼーション
      (1)経済統合の動向:
           北米自由貿易協定(NAFTA(ナフタ):
              North American Free Trade Agreement)、
           南米南部共同市場(MERCOSUR(メルコスール):
              Mercado Comun del Cono Sur)、
           米州自由貿易圏(FTAA:
              Free Trade Areas of the Americas)
      
      (2)グローバル化に抵抗する先住民族
      (3)移民問題:
           米国のヒスパニックパワー、
           ヒスパニック・ラティーノ社会

[III]ラテンアメリカの挑戦
      (1)反米左派政権の誕生
      (2)イベロアメリカ・サミットと米国
      (3)チャベス政権(ベネズエラ)と米国
      (4)ルーラ政権(ブラジル)の動向