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英文学研究II 『マクベス』研究 |
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三人の魔女と出会い、自分が王になるという予言を聞いたときから、マクベスは王位への欲望に駆り立てられていく。魔女たちは、マクベスに権力への欲望を吹込んだのか? それとも彼の心の奥底に眠っていた欲望を言い当てたにすぎないのか? 魔女や亡霊の登場、幻想、血や闇のイメージ、反復強迫的に使われることばなど、劇はマクベスの心の闇の迷路を表象してもいる。王政と魔術に関心を抱いていたジェームズ一世の治世に上演された『マクベス』は、王の権利、反逆の可能性、なにが権力を正当化するのかを問いかける。 一方で、三人の魔女はヒゲをはやしており、マクベス夫人は自分の性を否定して、夫の男らしからぬ臆病さをなじるように、魔女たちやマクベス夫人は慣習的なジェンダーの規範をくつがえす。 「きれいはきたない、きたないはきれい」というセリフに象徴されるように、劇のなかで、あらゆることばの定義が揺らぎ、美/醜、王/家臣、男らしさ/女らしさ、正常/狂気の境界線はあいまいである。『マクベス』は意味の両義性に満ちている。ことばの多義性に注意を払いながら、無意識の欲望、権力、ジェンダーの問題を考える。 |
評価方法: | 平常点とレポートにより総合的に評価する。 |
テキスト名: | William Shakespeare, Macbeth (Cambridge School Shakespeare), Cambridge UP, 2005 |
注意事項: | C基準 |