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本を読む−2 |
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30005102 |
「本を読む」は、一冊の本を読みとおすことを通じて本を読む面白さ、奥深さを体験し、読書する習慣を身につけてもらうことを企図したものである。さまざまな分野の教員が自らの専門の見地から、学生に読んでもらいたい本(新書等)を推薦している。本を推薦した教員は、本に書かれていることを解説するというよりも、読者自身が感動したり気づいたりしたことを、対話によって引き出し、考えを深める手助けをする。この授業を契機として、これからの読書経験を豊かなものにしてほしい。 |
評価方法: | 面談とレポート(1200字程度、採点後返却する)。 |
テキスト名: | ソポクレス『オイディプス王/アンティゴネ』新潮社(新潮文庫)、1984年 |
もし予言というものがこの世にあったら人はどうするでしょうか?雑誌の最後に載っている「今月の運勢」などではなく、予言です。おそらくその言葉は忘れられない深刻なものとなるでしょう。ではもしも、その内容が破滅の予言だったらどうするでしょうか。もはや深刻に考え込むだけではなく、何らかの行動に出ざるを得ないのではないでしょうか。「お前は父を殺し母と交わる」。このような破滅的予言は誰だって否定したいし、その通りにならないように、必死で逃げようとするでしょう。例えば、両親から離れて暮らす、などはさしあたり良い対策であるように思われます。でも、もしも、あらゆる知力と体力を使って何とか逃げおおせたと思ったそのとき、それでも予言の内容が実現してしまったとしたら…?その時人は、人間の分際で「知ること」の限界や、真実というものの意味、運命と何なのか、人間の自由とは何なのか、など、人間のおかれた境地について考えざるを得ないのではないでしょうか。このような事態こそ悲劇と呼ぶのです。それを一緒に読んで共に考えたいと思います。 |
注意事項: |
*この授業は、教室で定期的に行われるものではなく、本を推薦した教員と受講者との間で個別に行われる。受講希望者に対する履修説明会を学期初めに開催する。希望者多数の場合は人数制限を行うことがある。課題本を昨年度以前に読んだ者の履修は認めない。 *授業は植田個人研究室(1号館2階1236号室)で行う。 *履修制限:履修者は最大で10名程度とする。 |