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    国際法I
  国際法の一般理論
JO HIDETAKA 
城 秀孝
2単位 
1〜4 
前期 
50400700

 ここ数年、日本を取り巻く国際情勢は激動のさなかにあると感じる人も多いと思います。
 2001年の米国同時多発テロ事件や2003年のイラク戦争など、武力紛争は頻発しており、国連もこうした問題に何らかの対処を迫られています。
 米国が中心となって始めたアフガニスタン戦争やイラク戦争は、国際法上の根拠のない違法な戦争であるとの批判もあり、一方、そうした状況にもかかわらず日本は自衛隊を派遣するなど、日本も世界も混迷を極めています。最近、陸上自衛隊は無事にイラクから撤退したものの、航空自衛隊は未だイラクでの活動を続け、インド洋では海上自衛隊が米軍艦艇への補給任務に就いています。
 そして、米国における報道や国連での扱いなどを見ると、現状でのイラクは「内戦」状態にあるのだと言われはじめています。
 こうした混迷の世界を正しく理解するためには、国際法の知識が不可欠であり、本講義では国際法の知識を十分習得できるようにしていきます。
 国際法Iの前半では、尾崎哲夫著『世界一わかりやすい国際法入門』をテキストとして利用して、国際法の全体像を広く浅く見渡していきます。そして、後半では、松井芳郎他著『国際法〔第4版〕』をテキストとして利用し、より専門的な国際法の知識を習得していきます(残った部分は国際法IIへ引き継ぎます)。

 国際法I・IIの講義を通じて、国際法とは何か、国際法はどのような形で存在しているか(条約、慣習法など)、国際法は誰が使えるのか(国家、国際組織、個人など)、地球は国際法上どのような扱いになっているか(陸、海、空、宇宙など)、国際法に違反したらどうなるか(国家責任、紛争解決)、国連とは何か、武力紛争とは何か、といった点について学んでいきます。

評価方法: 成績は、1.筆記試験と、2.レポート、この二つの総合評価によって決定します。
筆記試験、レポートともに必修であり、今年度から、この二つをクリアしていない受講生には単位を付与しないこととします(レポートの案内は、前半終了時に授業内及び掲示等で行う予定。また、試験は授業の最終日に授業内試験で実施する予定。試験欠席者は追試等を予定しています)。
 なお、筆記試験は、例年、論述式で行ってきましたが、今年度は学習到達度確認のため論述式ではなく記述式(概念・語句の穴埋め問題を予定している)に変更しますので、基本をしっかり復習しておいてください。
 レポートについては、例年同様、C.G.ウィーラマントリー著『国際法から見たイラク戦争』の第一部(11頁から64頁)を読み、国際法上の問題点を要約してもらう予定です。提出締切は七月末日の予定です。 

テキスト名: 尾崎哲夫著世界一わかりやすい国際法入門ダイヤモンド社2005
松井芳郎他著『国際法〔第4版〕』(有斐閣Sシリーズ)有斐閣2002

参考文献: C.G.ウィーラマントリー著国際法から見たイラク戦争勁草書房2005

  その他、適宜図書館等において参照すべき文献:
 
 1 大沼保昭編『資料で読み解く国際法〔第2版〕上・下』東信堂、2002年
 2 『国際条約集』2007年(有斐閣のものが主流だが、どの出版社のものを参照してもよい。
    なお、ネット上に公開されている条文を参照する方法については別途指示する。)

  参照すべき文献の詳細な利用方法については講義内で別途指示する予定。