西洋の近現代語は古典ギリシャ語から多くの遺産を受け取っている。たとえば英語の単語一つとってみても、我々は非常に多くのギリシャ語起源の言葉を、多くの場合、そうとは知らずに用いている(たとえばmathematics、psychologyなどの学問の名称から、music, telephone, asphaltなどの身近な単語まで)。また、'Paris' judgement’や'Trojan horse' など、古代ギリシャの神話や故事に由来する言い回しも多い。古典ギリシャ語と古代ギリシャの文化について学ぶことは、西洋の言語と文化に対する理解を一層深めることになると言えるだろう。 このように、古典ギリシャ語を学ぶ価値は、言語自体に関わることのみにあるのではない。西洋最古の文学ホメロス、哲学の基礎を作ったプラトン、アリストテレス、「歴史の父」ヘロドトスとその批判的後継者トゥキュディデス、後の文学・思想に多大な影響を与え続けている詩人達、そして新約聖書等々、古典ギリシャ語(と、その方言)で書かれた古典的文献を挙げればきりがない。古典とは「模範」の意味であって、長い間西洋における教養教育の中心をなしてきた。従って、古典ギリシャ語を学ぶことは西洋文化の根幹を学ぶことに繋がるとともに、教養を学ぶことにも繋がるのである。 この科目では、近現代語との比較を交えながら、古典ギリシャ語の基本的な文法を学ぶとともに、古代ギリシャの文学や思想、習俗などにもできる限り触れ、西洋の言葉と文化への理解を深めていくための入り口としたい。 前期はアルファベットの学習から始め、名詞変化と動詞変化の基本的な形を中心に学ぶ。
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