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    意味・語用論
  発話の意図と解釈を考える
TANAKA YUJI 
田中 裕司
4単位 
2〜4 
前期 
50100400

日常生活において言語を使用して情報伝達をおこなうとき、字義どおりの意味では話し手が何を伝えようとしているのかわからない場合が少なくない。"It's cold in here"と言えば、話し手は発話時の室温について記述していると解釈することもできるが、裏の意味をとって聞き手に窓を閉めるように要求していると解釈することもできる。このような「裏の意味」とは何か。なぜ聞き手は話し手の意図どおりに意味を解釈できるのか。そこにはどのような規則や原則が働いているのだろう。本講義では、主に日本語と英語における発話資料を分析して、このような言語使用に関する問題を考察することが主眼である。

評価方法: 授業への出席状況,参加態度、中間試験、期末試験にもとづいて判定する。

テキスト名: ジェニー・トーマス語用論入門―話し手と聞き手の相互交渉が生み出す意味研究社1998

注意事項: 言語研究の基礎的知識は前提として話を進めるので、履修生は「英語学概論」あるいは「言語学入門」の単位取得済みである者に限る。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. オリエンテーション
2. 語用論とは何か(I):文脈上の意味
3. 語用論とは何か(II):話者の意図する意味
4. 発話行為(I):オースティンの功績
5. 発話行為(II):行為遂行文
6. 発話行為(III):行為としての発話
7. 会話の含意(I):協調の原理
8. 会話の含意(II):4つの行動の指針
9. 会話の含意(III):行動の指針からの逸脱
10. 語用論へのアプローチ(I):グライス理論の問題点
11. 語用論へのアプローチ(II):間接的発話行為
12. 語用論へのアプローチ(III):発話行為の成立条件
13. 語用論へのアプローチ(IV):規則か原則か
14. 中間試験
15. 語用論と間接的な言い回し(I):間接性とは何か
16. 語用論と間接的な言い回し(II):間接性の適切さ
17. 語用論と間接的な言い回し(III):間接性の度合い
18. 語用論と間接的な言い回し(IV):なぜ間接的な言い回しを使うのか
19. ポライトネスの理論(I):ポライトネスとは何か
20. ポライトネスの理論(II):原則と行動指針によって測られるポライトネス
21. ポライトネスの理論(III):ポライトネスとフェイス
22. ポライトネスの理論(IV):語用論的スケールによって測られるポライトネス
23. 意味の構築(I):語用論と言語学
24. 意味の構築(II):活動の型と発話事象
25. 意味の構築(III):意味の構築
26. 期末試験