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本を読む−12 |
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30005112 |
「本を読む」は、一冊の本を読み通すことを通じて、本を読む面白さ、奥深さを体験し、読書する習慣を身につけてもらうことを企図したものである。さまざまな分野の教員が自らの専門の見地から、学生に読んでもらいたい本(新書等)を推薦している。本を推薦した教員は、本に書かれていることを解説するというよりも、読者自身が感動したり気づいたりしたことを、対話によって引き出し、考えを深める手助けをする。この授業を契機として、これからの読書経験を豊かなものにしてほしい。 |
評価方法: | 面談とレポート(1200字程度、採点後返却する)。 |
テキスト名: | 遠藤周作『侍』新潮文庫、1986年 |
本書は、スペイン国王およびローマ教皇に宛てた文書を携えてヨーロッパに渡った、慶長遣欧使節・支倉六右衛門常長を主人公にした歴史小説である。使節は、スペイン植民地ヌエバ・エスパーニャ(現メキシコ)からスペインに渡り、フェリペ国王の謁見を受け、ローマでは教皇パウロ5世に謁見したが、帰国の途についたころ、日本はすでにキリシタン弾圧の嵐が吹き荒れていた。支倉はまさに「悲運の使節」であった。その目的は何であり、家康と伊達政宗の真意は何であったのか。キリスト教文明に触れながら、「サムライ」自身が内面的かつ精神的に変容してゆく。サムライの旅はまさに「帰依の旅」でもあった。本書は野間文学賞を受賞した作品であるが、史実にもとづき忠実に描く、きわめて巧みに練り上げられた、読者の心に響く書を、共に堪能したい。本体480円(税別)。 |
注意事項: |
この授業は、教室で定期的に行われるものではなく、本を推薦した教員と受講生との間で個別的に行われる。受講希望者に対する履修説明会を学期始めに開催する。希望者多数の場合は人数制限を行う。課題本を昨年度以前に読んだ者の履修は認めない。 授業は、柳沼個人研究室(1号館3階)で行うが、具体的には説明会の会場で決定する。同時に、「メーリングリスト」を作成し、以降は連絡網によって周知・案内する。 履修制限:特に制限しない。 |