後期(月・3)時間割表へ
    人権論B
  現代の人権問題
AOYAMA HARUKI 
青山 治城
2単位 
1〜4 
後期 
50500602

 「人権」の概念は、法的、道徳的、政治的とさまざまに異なる意味で用いられ、そこにはある種の混乱も見られる。しかし、人権の歴史を振り返ると、そこにはやむを得ない事情もある。「人権」の概念には、フランス型「自然権」思想に基づく系譜とアメリカ型「抵抗権」思想に基づく系譜がある。また、ヨーロッパに起源をもつ人権は、アジア地域には適合しないといった主張もあり、ヨーロッパ自体においても人権概念を無意味な抽象として否定する議論もある。
 本講義では、若干の人権思想史を踏まえた上で、具体的な場面から現代における「人権」の意義と問題点を考えていきたい。

評価方法: 出席(発言)と試験の総合評価(それぞれのウエイトは50%)。授業ごとに理解度をはかる小レポートを書いてもらう予定。任意提出のレポートも歓迎する(評点にプラス)。

テキスト名: 内野正幸人権のオモテとウラ明石書店1998

参考文献: J. ロールズ他人権についてみすず書房1999
飛田茂雄アメリカ合衆国憲法を英文で読む中公新書1998

  基本的に共通のテキストを使って授業を進めるが、新しい問題や論点もあるので、その都度資料やビデオを参考にする。

注意事項: 原則として期末の筆記試験によるが、基本的に毎回、感想と質問を記した小レポートを書いてもらうので、出席が重視される。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. はじめに:人権とは何か
2. 人権の歴史:身分権、市民権、国民の自由、社会権
3. 人権概念の諸問題:人類エゴイズム等
4. 人権批判論への応答:人権概念をもたない社会?
5. 自由権:自由とは何か
6. 表現の自由:プライバシー、ヘイト・スピーチ問題等
7. 自己決定の自由:自己責任論の諸問題
8. 経済的自由:ネオ・リベラリズムの諸問題
9. 自由と平等:区別と差別(合理的差別とは?)
10. 外国人の人権:異人排除、難民保護、国籍、出入国の自由?
11. 女性の人権:男女平等、男女共同参画社会
12. こどもの人権:「教育」と Education, Erziehung
13. 国際社会と人権:各種国際人権条約