後期(金・2)時間割表へ
    日本芸能史II 
SYODA NATSUKO 
正田 夏子
2単位 
1~4 
後期 
 
50300800

 日本の古典芸能の中から、「能楽(狂言)」、「歌舞伎」、「文楽(人形浄瑠璃)」を取り上げます。
扱う時代の範囲は能楽が武家の式楽として成立する以前から、江戸時代に庶民の芸能である歌舞伎・文楽が台頭し明治の文明開化に到るまでの約1000年間を半年で講義します。

 昨今、中世庶民の風刺や笑いを盛り込んだ狂言がブームとなっていますが、ストーリーや謡の面白さもさりながら、中世社会の風俗模様といった視点が理解できると当時の洛中の様子まで生き生きと見えてきます。また、支配階級のものであった能楽に対し、広く巷間に親しまれ発展した歌舞伎には、度重なる幕府の奢侈禁令にもかかわらず衣裳や道具に贅が尽くされ、当時の服飾モードに少なからぬ流行を生み、現代の着物にも残るデザインが多く生まれました。

 本講義では「被支配階級」であった当時の庶民の諸相を踏まえ、舞踊や音楽の理解だけでなく、演出という面から重大な役目を担う多彩な衣装や小道具、人形の頭(かしら)などの「見た目」の視点を重視します。使われる役柄や、当時の服飾、社会情勢との関わりへと理解を深めてもらう講義になりますので、スライド・ビデオ教材を多く用い、時間外で国立劇場、能楽堂への観劇、観能を行う予定です。(希望者のみ、出席は自由です)
 せっかく日本にいるのに日頃関わりの薄く、また何かと敷居が高く思われがちなジャンルですが、けしてそんなことはありません。これから世界に出てゆく皆さんに、また世界中から日本にみえる方々に、この講義が脈々と息づく日本の生きた美に触れる機会になればと思います。
 

評価方法: 古典芸能鑑賞レポート(規定あり、授業時に詳細指示)


参考文献: 金子直樹狂言鑑賞二百一番淡交社2005
渡辺保新版・歌舞伎手帖講談社2003
宮尾しげを文楽人形図譜かのう書房1984


注意事項: *日本芸能史I、日本芸能史II 両方通年で履修することが望ましい。


授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1. オリエンテーション---レポートの書き方、参考文献など---
2. 日本の芸能史のあらまし
3. 狂言の成立と展開---狂言の種類--- 
4. 狂言の成立と展開---中世の諸相から---
5. 狂言の成立と展開---男女の装束・狂言面---
6. 歌舞伎の成立と展開---歌舞伎の種類---
7. 歌舞伎の成立と展開---近世の諸相---
8. 歌舞伎の成立と展開---歌舞伎の衣裳と意匠---
9. 文楽の成立と展開---近松と竹本義太夫---
10. 文楽の成立と展開---人形と頭---