後期(金・4)時間割表へ
    ラテンアメリカ史概論II
  ラテンアメリカの独立から近現代
YAGINUMA KOICHIRO 
柳沼 孝一郎
2単位 
1〜4 
後期 
43400800

アメリカ大陸の古代文明につづき後期では、1492年のコロンブスの新大陸到達に象徴される「大航海時代」に始まる旧世界と新世界の遭遇と衝突(地理上の発見と征服の時代)、スペイン領アメリカが形成されたスペイン植民地統治時代(1500年から1800年代)、独立革命の時代(1810年代)、国民国家の樹立時代から近代化と従属化の時代(19世紀末から20世紀初頭)、メキシコ革命に代表される社会改革の時代(1910年代)、第二次世界大戦から冷戦時代、そして現代までのラテンアメリカの歴史変遷について、ビデオを鑑賞し、解説を加えながら授業を進める。

評価方法: 以下の項目、レポート提出(評価の60%)、ビデオ鑑賞についてのリアクション・ペーパー提出(20%)、出席などの平常点(20%)を総合して評価する。

参考文献: 増田 義郎物語 ラテン・アメリカの歴史中公新書1998
国本 伊代概説ラテンアメリカ史新評論2001

  毎回、授業時にプリントを配布する(配布されたプリント等は各自で管理しておくこと)。

注意事項: 地域文化研究に関心のある学生諸君の積極的な参加を期待する。とりわけ、ラテンアメリカ地域文化研究に関心があり、ラテンアメリカに関する卒業論文の執筆を希望する学生諸君、特に、「日本メキシコ政府交換留学生」の受験を目指す学生諸君には是非、履修を薦めたい。
前期と後期を積み上げ式に履修しなければならない科目ではないが、より理解を深めるために、「ラテンアメリカ史概論」を履修済みが望ましい。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 総論:イスパノアメリカ(スペイン領アメリカ)の形成から独立、近代化、現代について。
[]大航海時代:発見と征服の時代、旧世界と新世界の出会い
イベリア世界(スペイン・ポルトガル)の拡大:アメリカ大陸の「発見」と「征服」
2. アステカ王国とインカ帝国の滅亡:征服の過程、「レパルティミエント制」と「エンコミエンダ制」の導入など。
3. 新大陸の「征服」をめぐって:「軍事的征服」と「精神的征服」の二元性、「黒い伝説」と「白い伝説」、バルトロメ・デ・ラス・カサス『インディアスの破壊に関する簡潔なる報告』を読む。
4. []植民地時代:イベリア国家による植民地支配と開発経済
植民地統治機構の確立:インディアス枢機会議、アウディエンシア(司法機関)、副王(副王府、副王領)、カトリック教会など。
5. 植民地経済の発展:新大陸貿易、「通商院(カサ・デ・コントラタシオン)」の機能、鉱山開発と銀ブーム、アシエンダ(大農園)と大土地所有制(ラティフンディスモ)の形成、税制など。
6. 植民地社会の形成:イベリア世界の移植と「アメリカの発明」、人種的身分制社会(混血社会)、植民地文化、カトリック教会の役割など。
7. []イスパノアメリカの独立:
独立運動の背景:反乱する植民地社会、ヨーロッパ啓蒙思想の影響、ナポレオンのイベリア半島侵攻。
カリブ海域の独立運動:トゥーサン・リベルチュールの解放運動とハイチ共和国の樹立など。
ヌエバ・エスパーニャ副王領の独立:メキシコの独立とミゲル・イダルゴ神父、モレロス神父。
8. 南アメリカの独立:シモン・ボリーバル(「解放者」)の思想と「グラン・コロンビア共和国」、ホセ・デ・サン・マルティンとラプラタの独立、ブラジルの独立。
9. []近代化と従属化:
近代国家の形成:カウディージョ(caudillo)の時代(カウディジスモ)、汎アメリカ主義と反米主義、アメリカ・メキシコ戦争(米墨戦争)、モンロー・ドクトリンと米国のラテンアメリカ進出など。
10. 輸出経済の発展と従属構造の確立:寡頭支配体制の確立、外国(英米)資本の流入、国際分業体制の確立、モノカルチャー経済の確立、アメリカ・スペイン戦争とキューバの独立、パナマの独立と「パナマ運河条約」など。
欧化政策とヨーロッパ新移民の流入:ラプラタ地域と「ユーロアメリカ」の形成、都市化など。
11. []20世紀のラテンアメリカ: 
国民国家の形成とナショナリズム:革新運動、メキシコ革命(1910年)、米国の膨張主義と反米ナショナリズム、インディヘニスモ(indigenismo)、世界恐慌とラテンアメリカ、モノカルチャー輸出経済の破綻など。
12. 冷戦体制とラテンアメリカ:ポピュリズム(populismo)政権の誕生、冷戦とラテンアメリカ、カストロとキューバ革命(キューバ危機)など。
13. 米国の対ラテンアメリカ政策:軍事政権の出現、チリ革命(アジェンデ社会主義政権)の瓦解と軍部、民族紛争(中米紛争の構図)など。
14. 危機の1980年代と民主化:累積債務と経済危機(「失われた10年」)、ネオリベラリズムとグローバル化、経済統合(NAFTA, MERCOSUR,FTAA)、現代ラテンアメリカの諸問題(社会格差、貧困問題、環境・都市・教育問題)。
15. 総括:ラテンアメリカの歴史研究・地域文化研究について。
   提出課題要領について(課題、参考図書文献一覧、レポート添付表紙、など配布する)。