後期(水・4)時間割表へ
    英国研究入門II
  今日のイギリス-その国家と社会:発展編
AKIMOTO TOMIO 
秋本 富雄
2単位 
1〜4 
後期 
41402000

この講義の目的は、1980年代以降大きく変わりつつあるイギリス社会の現況と問題点を、多面的に理解してもらうことにあります。授業では、(1)市民と政治、(2)行政、地方自治、官ー民関係、中央ー地方政府間関係などにおける制度改革の状況、(3)経済、(4)社会福祉制度、(5)EU統合問題、(6)文化とライフスタイルなどのテーマを取り上げ、イギリス社会の構造的変容状況を明らかにしていく予定です。なお、折に触れ、講義項目に関連するアップ・トゥー・デイトなトピックも扱っていくので、授業の項目・進度に変更の出る可能性があります。

評価方法: 原則として定期試験およびレポートによる評価。

参考文献: 岡山勇一、戸澤健次サッチャーの遺産晃洋書房2001
John McCormick, Contemporary Britain, Palgrave, 2003
Anthony Sampson, Who Runs This Place? The Anatomy of Britain in the 21st Century, John Murray, 2004
山口二郎ブレア時代のイギリス岩波新書2005

  講義はレジュメを中心に進めていくので、指定テキストはありません。
John McCormickの著書は、この講義のプログラムを作成するうえで参考にしたもので、初学者/一般成人読者向けのスタンダードなテキストとして推奨できるものです。
2004年12月に没したAnthony Sampsonはイギリスを代表する世界的ノン・フィクション作家の一人です。紹介した参考文献は、彼の名声を決定づける事になった著書の最新版(かつ最終版)で、イギリス社会の権力構造の実態をあざやかに描き出した名著です。
山口二郎氏の本は、ブレア政権の成果と問題点を、同時期の日本政治の現状と比較しながら、コンパクトにまとめたものです。

注意事項: この講義では、英国研究入門1で扱った事項を、繰り返し説明することはしません。英国研究入門1を受講せず、この講義だけを単独で受講する人は、講義初日に紹介する参考文献等で、不足している部分を(自分自身で)補ってもらう必要があるかもしれません。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. 市民と政治(1)
:選挙制度
:イギリスの政党政治
2. 市民と政治(2)
:圧力団体
:参加/政治的無関心
3. イギリスの行政制度
:サッチャー政権による行政改革を考える
4. イギリスの地方政府
:カウンシル制度
:ブレア政権による地方政府改革の現状
5. ナショナリズムとデボリューション
:スコットランドとウェールズにおけるデボリューション
:北アイルランド問題
6. イギリスの経済
:「 イギリス病」を脱したイギリス経済
:イギリスにおける格差拡大の実態
7. 福祉国家イギリスの変貌
:福祉国家体制の再検討
:イギリスの教育制度
8. EU統合と英国
:ユーロ参加問題
:東方拡大以後のEUとイギリスの態度
9. 文化とライフスタイル
:マス・メディアとイギリス文化事情
:「イギリス人」の宗教生活