前期(木・2)時間割表へ
    哲学IB
  実存主義と構造主義
UEDA KAORI 
植田 かおり
2単位 
1〜4 
前期 
30000402

20世紀の哲学は近代哲学を克服する仕方で華々しく登場したと言える。実存主義はそのうちの一つである。従来の哲学が「人間とは何か」「幸福とは何か」という問いを掲げていたのに対して、実存主義は「私とは何か」「私の幸福とはどのようなものか」という問いを立てた。この現実的で切実な問いかけは多くの人々の心を捉えたのである。ここから実存主義は大きな思想運動を展開してゆくが、その運動が大きくなるほど、再び克服の運動の波が押し寄せてきた。その波が構造主義である。「私」や「主観」に埋没しがちな実存主義に対抗する形で、客観性、実証性、普遍性を目指す構造主義が台頭してきたのである。このように、20世紀の現代思想には大きな対立項があるが、しかし、これは古くて新しい問題であると言える。個物と普遍、自我と社会集団、現実と原理といった二項対立の一般的な問題性を孕んでいるからである。
本科目においては、このような問題意識の下に、前期は実存主義を中心に講義したい。

評価方法: 学期末試験で評価する。

テキスト名: 授業内で適宜指示する。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1. イントロダクション
2. 現代思想の前提1
3. 現代思想の前提2
4. 実存主義の出発点
5. 「実存は本質に先立つ」
6. 実存主義の基本的テーゼ
7. 「実存主義文学」
8. 実存主義の多様性1
9. 実存主義の多様性2
10. 実存主義の多様性3
11. 実存主義の問題性
12. 反実存主義としての構造主義
13. 後期授業への道筋