比較文化研究演習-1
  ジェンダー/セクシュアリティと文学批評
MATSUI KEIKO 
松井 佳子
4単位 
3〜4年 
通年 
60302201

性をめぐるわたしたちの<当たり前><それが自然>はメディア(文学表象も含まれる)によって反復・再生産・補強されるが、そこには抵抗の拠点としての作用が働くこともある。文学解釈に「ジェンダー/セクシュアリティ・パースペクティヴ」を導入することで、一体どんなメリットが生まれるのであろうか。この授業では、文学作品のいくつかを取り上げ、<それが当たり前>という感覚が<こうでなければならない>という強制的な規範を生みやすいというメカニズムを分析、検証することを目的とする。なかなか見えてはこないジェンダー・ポリティクスを可視化させる一方で、「性」の三つの光源であるセックス/ジェンダー/セクシュアリティがいかに分節化を拒絶するか、どのような形で整合性に回収されずに表現されてか、テクストの精緻な読みの作業を行うことにする。その際に「性」の本質論/社会構築論という固定された二項対立論に陥らないように注意したい。前期に文学解釈のための基礎文献を読んだ後で、共通の文学テクスト(円地文子、よしもとばなな、川上弘美、柳美里、村上春樹、フロベール、D.H. ローレンスなど)の批評を行い、後期は各自が選んだ文学テクストに基づくプレゼンテーションとゼミ論(あるいは卒論)執筆という授業の流れを予定している。遅くとも夏休み中に各自が研究テーマ(文学作品の選択とともに)を決定し、計画書を作成すること。テクストに対する内的必然性と積極的な取り組みおよびクラス内の真摯なディスカッションが要求される参加型の授業である。

評価方法: 授業への参加、プレゼンテーション、ペ―パー(ゼミ論あるいは卒論)の総合評価とする。

テキスト名: 田崎英明思考のフロンティア:ジェンダー/セクシュアリティ岩波書店2000
竹村和子愛について岩波書店2002
武田悠一 編ジェンダーは超えられるか:新しい文学批評に向けて彩流社2000