地域研究A
  「地域」をよみとく方法
OKUSHIMA MIKA
奥島 美夏
TAKAGI KO
高木 耕
KUROSAKI MAKOTO 
黒崎 真
2単位 
2〜4年 
前期 
56002801

「地域研究」とは、特定地域を学際的(inter-disciplinary)に研究する手法をさす。この学問枠組みを(1)外国語と特定ディシプリンを組み合わせた「研究方法」、(2)複数地域の比較によって相対化された視座を身につける「地域の読み方」、そして(3)身につけた研究方法と視座を現地調査で試してみる「調査実習」の3段階にわけ、それぞれを高木、黒、奥島の3人が担当する。
高木の担当する(1)では、まず小国・後進国への対外政策としてうまれた地域研究のなりたちをふりかえり、実際に「研究手法」がどのような形で応用されているのかを、講師の専門分野であるブラジルやコロンビアを例に解説する。
次に、かつては先進国側中心の視点に偏っていた地域研究を、現代にどう活用するかを考えよう。黒の担当する(2)では、近代西洋における他者理解のひとつ「人種」という概念が、人種差別や人種観形成にどう影響してきたかをとりあげる。具体的には、まず講師の専門である米国の「人種」という概念が黒人差別正当化の装置として機能していく歴史的過程を検討する。次に、この「人種」概念と日本人の黒人観との関わりについて検討する。ここから、特定地域の固有性をどうとらえるかを学ぶと同時に、複数地域との比較によって共通性・特殊性もみつけだし、特定地域を相対化する視座を養う。
ここまで身につけた手法と考え方は、実践に応用できるかどうか試される。奥島の担当する(3)では、参加者の希望や専攻に応じて、現地調査の準備、現場の観察とインタビュー、報告書作成と発表など一連の流れを実習する。実習例は自分自身やその家族・友人から始まって、在日外国人の礼拝所やコミュニティへの訪問までさまざまな選択肢が考えられる。さらに、この実践を通じて、データの検証、現場関係者とのラポールづくり、プライバシーへの気遣いを学ぶことも目標とする。
なお、これら3段階のあいまに、身につけた手法や視座を応用するため、別な地域・ディシプリンを専門とする講師若干名にも依頼する。前期に予定している菊池は、近年世界に影響を広げつつあるイスラームという「異文化」を、また土田は、私たち「日本人」が地域研究をするために必要な自文化をかえりみる視点を深めてくれるだろう。

評価方法: 成績評価:毎回の出席と参加姿勢、そして課題(各講師によるリアクション・ペーパー、レポート、グループ発表、調査実習の総合評価とする。(くわしくは授業の初回で説明)