現代国家論II
  近代国家の再検討
AOYAMA HARUKI 
青山 治城
2単位 
1〜4年 
後期 
50403800

「国家」の存在は自然なものであり、理論的に正当化される必要のないものだと考えられる場合もある。しかし、長い政治哲学、倫理学の伝統は、ある意味で国家正当化の試みであったと見ることもできる。まして、歴史的に形成されてきた近代国民国家がいろいろな点で綻びを見せ始めている現在、その正統性の根拠と限界を見極めることはきわめて重要なことである。テロリズムと正当な抵抗権の行使との違いなどが、その具体的な問題の一つである。日本においても、靖国問題や防衛論争、在日の人々など、国家の正当性問題と深く関連する問題がある。
本講義では、こうした点について、前期の現状認識をふまえた上で、思想史的および理論的に考察していきたい。

評価方法: 毎回の理解度を測るために書いてもらう小レポートと、最後に最も関心をもったテーマに即してまとめてもらうレポートの総合評価。

テキスト名: テキストは特に指定しないが、毎回参考文献をあげるので、レポート作成のためにも、興味をもったものからどんどん読んでいくこと。

注意事項: 授業計画は、順序や内容について変更される場合がある。出席重視ゆえ、欠席が多い場合、最後のレポートを受け取れないことがあるので注意すること。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.近代国家とは:
近代的ナショナリズムの問題を中心に
2.法の支配と民主主義:
近代国家形成の理念
3.近代国家論の誕生(ホッブズ):
主権国家のモデル
4.所有者共同体(ロック):
自由主義国家モデル
5.人民民主主義(ルソー):
民主主義国家モデル
6.政治的保守主義とドイツ思想(フィヒテ):
民族国家モデル
7.功利主義(ベンサム):
福祉国家モデル
8.社会と国家(ヘーゲル):
人倫的国家モデル
9.社会主義(マルクス):
平等主義国家モデル
10.社会進化論(スペンサー):
有機体的国家モデル
11.国家社会主義(ナチス・ドイツ):
全体主義国家モデル
12.アナーキズム:
エゴイスト共存の国家モデル
13.まとめ:
国民国家の射程