ヨーロッパ政治経済論I
  欧州統合の「壮大な実験」を解明する!
TOKADO KAZUEI 
戸門 一衛
2単位 
1〜4年 
前期 
50401700

戦争に明け暮れた欧州に「不戦共同体」ができてから半世紀が経った。EU(欧州連合)は、欧州市民の生活に密接に関わるようになっており、2004年5月からは中東欧諸国の加盟によって25カ国体制になった。
EUの機能の深化と拡大は、「人類史における壮大な実験」ともいえる画期的な側面を持っている。何が、なぜ、画期的なのか?
欧州統合の歴史、EUの制度と機能、機能の深化、新たな課題などを解明することによって、この問いに答えたいと思う。それが、この講義の目的である。

評価方法: 出席点 約25点、自由課題レポート 約15点、論述試験 約60点の計100点で評価する。

テキスト名: 基本的にハンドアウト・レジュメを配布する。適宜、参考文献を紹介する。
European Commission(欧州委員会)のホームページ www.europa.eu.int(欧州15カ国の公用語)または駐日欧州委員会代表部のjpn.cec.eu.int(日本語)が情報の宝庫である。

注意事項: ヨーロッパ統合の実態を理解することは国際問題を理解するために必要である。特に、急速に相互連関を深めつつある東アジアは、「ヨーロッパの実験」から学ぶことが少なくない。したがって、専攻語学や専門分野にこだわらず、履修することを勧める。
なお、ヨーロッパ研究を中心テーマとする戸門ゼミ(「地域・国際研究演習」=「研究演習」)を3・4年次に履修し、いずれは卒論を執筆したいと希望する学生は、2年次(時間割上無理な場合は3年次)までに、この講義を履修しておくことが望ましい。ゼミ生の人数制限を行う場合、この条件は重要となる。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.欧州統合の「壮大な実験」とは何か? EU研究から見えるもの。
2.『ヨーロッパの歴史』・欧州共通教科書の意義
3.欧州統合の思想的系譜:リヒャルト・クーデンホフ=カレルギーの欧州統合運動からモネとシューマンへ
4.ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)・EEC(欧州経済共同体)の成立
5.国家主権の委譲:関税同盟・共通政策
6.EECからEC(欧州共同体)、ECからEU(欧州連合)へ
7.加盟国の拡大
8.European Single Market(欧州市場統合)
9.機能の深化
10.欧州市民権と多文化共生
11.新たな課題:中東欧諸国の加盟
12.新たな課題:移民問題を中心に
13.共通外交・安全保障政策・司法内務協力