韓国文化特定研究I
  韓国・朝鮮における文化の創造過程
HAYASHI FUMIKI 
林 史樹
2単位 
2〜4年 
前期 
44201200

文化的な事象に「伝統」という語が付与することでにわかに価値づけられ、重んじられる経験を我々はしている。出自や来歴にこだわる韓国でも「伝統」に「正統性」という評価を付け加え、文化そのほかを語るうえで、ことさら「伝統」に依拠した「正統性」を主張することが多い。しかし「伝統的」と思われていたものが、実は近年に創造された産物であることも珍しくない。このような、いわゆる「伝統文化のつくりかえ」は指摘されて久しいが、現在もなお、その呪縛から抜け切れていないのも事実である。特定研究1では韓国・朝鮮において常に文化が創出されていく過程を諸事例をとりあげて紹介する。

評価方法: 平常点とレポートで評価する。

テキスト名: 参考となる文献を開講時に指示する。必要に応じて随時関連資料を配布する。

注意事項: 特定研究1の履修後に特定研究2を通年で受講するのが望ましい。細かな講義内容については若干の変更を行うこともある。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.イントロダクション:伝統創造を通して何をみるか
2.国家が創造する「韓国文化」
3.伝統文化と文化政策、文化保護政策
4.郷土文化祭の創造 1―利川亀遊びの事例から
5.郷土文化祭の創造 2―南原Sクッノリの文献を読んで
6.檀君創造と開天節にみる国家の「正統」性
7.「韓方薬」と「漢方薬」の間
8.「国慶日」と移ろいゆく年中行事
9.現代韓国にみる食の多様化と変容
10.都市イメージの創造
11.人気を呼ぶ新たな観光地
12.土産物と郷土産品の登場
13.文化財をめぐる「正統」な所有権主張