米国外交論I
  
TAKASUGI TADAAKI 
高杉 忠明
2単位 
1〜4年 
前期 
41404100

20世紀はしばしば「アメリカ時代」であるといわれる。軍事、政治・経済、文化面におけるアメリカの影響力は世界中に及んでいる。なぜアメリカはこのような超大国になったのか?今後のアメリカはどのようになってゆくのか?この授業では、このような疑問を外交政策という観点にたって考察する。
講義では、最初に建国期から現在に至るまでに看取されるアメリカ外交の特徴を説明し、第二に、第二次大戦集結前後の米ソ冷戦の始まりと、その後の展開・終結のプロセスをフランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt)からニクソン政権(Richard Nixon)までの各政権の外交政策を、大統領の生い立ち、パーソナリティー、政策決定スタイル、政権を取り巻く国際環境などを中心に検討する。そして第三に、冷戦終結後「残された唯一の超大国」としてアメリカは、安全保障や経済問題など分野でどのような外交政策を行おうとしているのかを解明してゆきたい。

テキスト名: 佐々木卓也編戦後アメリカ外交史有斐閣2003

  W・ラフィーバー『アメリカの時代』芦書房、1992年
小此木政夫、赤木完爾『冷戦期の国際政治』慶應義塾大学出版会、1987年

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.オリエンテーション 授業の進め方ならびに成績評価の基準について説明する。
2.アメリカ外交の伝統 孤立主義と国際主義、モンロー・ドクトリンとウィルソン主義
3.超大国・アメリカの出現 第一次世界大戦、ウィルソン14ヵ条、ソ連の出現、国際連合とアメリカなど
4.アメリカの制度的特質ーー大統領と議会、メディア、国民など
5.F・ローズベルト(FDR)政権の外交政策(1)第二次世界大戦に至る道、第二次世界大戦とアメリカーヨーロッパとアジア
6.F・ローズベルト(FDR)政権の外交政策(2)真珠湾攻撃(日米開戦)と太平洋戦争、ヤルタ会談、ローズベルトの死、米ソ冷戦のはじまり
7.トルーマン政権の外交政策(1)ヨーロッパにおける米ソ冷戦の進展、激化、トルーマン・ドクトリン、マーシャル・プラン、ドイツ問題、NATO(北大西洋条約機構)の成立など
8.トルーマン政権の外交政策(2)アジアの冷戦(対日占領政策、中国の共産化、朝鮮戦争、日本の再軍備)
9.アイゼンハワー政権の外交政策(1)米ソ冷戦の雪解け、
10.アイゼンハワー政権の外交政策(2)大量報復戦略、ドミノ理論とアメリカのアジア政策、中東政策、ラテンアメリカ政策
11.ケネディ政権の外交政策(1)力の外交(キューバ危機、ベルリン危機など)
12.ケネディ・ジョンソン政権の外交政策(2)ベトナム戦争への介入、
13.ニクソン政権の外交政策(1)ベトナムからの名誉ある撤退、米中接近、米ソデタント、中東戦争とアメリカ外交など
14.ニクソン・フォード政権の外交政策(2)米ソデタントの陰り、第三世界をめぐる米ソの対立
15.まとめ