憲法IIA
  社会権と人身の自由
MORISHITA SHIROU 
森下 史郎
2単位 
1〜4年 
後期 
30003001

現代的人権と称される社会権(生存権、教育を受ける権利、勤労権、労働基本権を含む)と公権力による不当な身体的拘束
からの自由である人身の自由を中心に検討する予定。

評価方法: 定期試験

テキスト名: 後藤、猪俣編憲法敬分文堂2000

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.近代的人権から現代的人権への移行と社会権の成立
資本主義経済社会での人間らしい生活の保障とその矛盾
2.憲法25条の生存権
資本主義社会での生存権保障の脆弱性と憲法解釈
学説と判例の展開と問題点
3.憲法26条の教育を受ける権利
生存権の文化的側面の保障という観点からの論争ー国家の教育権か国民の教育権かーから子どもの学習権の保障へと
展開する憲法解釈と問題点の検討
4.憲法28条の労働基本権
資本主義経済システムを法的に支える契約の自由という基本原則が、労働市場で労働者の生活を脅かすという現実から
労働者と使用者が実質的に対等の立場で労働契約を結びうる制度の確立へ労働運動の歴史は動いてきた。
5.使用者の圧倒的に有利な経済立場から、ややもすれば自由の名の下に実質的に不平等な労働条件を押し付けられがちな労働者の
人間らしい生活の保障ためには労働者の団結の力が不可欠となる。
団結権の保障
6.団体交渉権と労働協約
団体行動権の保障と民事、刑事免責
労働基本権の制限と判例
7.人身の自由
奴隷的拘束.苦役からの自由
適法手続と罪刑法定主義、福岡県青少年保護育成条例
8.被疑者の権利
不当な逮捕に対する保障ー令状主義
現行犯逮捕、準現行犯逮捕、緊急逮捕
9.不当な抑留、拘禁を受けない権利
勾留理由開示の原則
弁護人依頼権と接見交通権
住居侵入、捜索、押収に対する保障
10.拷問と残虐な刑罰の禁止
自白を強要する手段としての拷問の禁止
残虐な刑罰と死刑
11.刑事被告人の権利
公平、迅速な公開裁判の保障
証人審問権、証人喚問権
12.自己に不利益な供述、自白の証拠能力
刑罰の不遡及、一事不再理