法学IIA
  民法の基本問題の理解
MORISHITA SHIROU 
森下 史郎
2単位 
1〜4年 
後期 
30001901

民法の基本問題である契約の自由、不法行為、家族生活と法を検討課題とする。

テキスト名: 森泉章編法学有斐閣ブックス2000

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.不法行為と損害賠償
違法行為と過失責任主義
加害行為の違法性
2.保護利益の拡大傾向―財産、人格権、生活利益をも含む。
加害者に故意または過失の要件
被害者の立証責任
3.責任能力
被害者の救済―挙証責任の転換(過失の認定の緩和)
自動車損害賠償保障法3条―過失の認定の緩和と被害者の救済
過失責任から無過失責任への転回―使用者責任(民法715条)
4.労働者の職務上の加害行為について、使用者は賠償責任を負う。(報償責任)
無過失責任と土地工作物の瑕疵に基ずく損害―所有者に絶対的責任
過失の有無を問わず賠償責任認める理論―無過失責任(危険責任)
立法の例―労働者の災害補償、原子力損害の賠償、製造物責任、大気汚染責任、水質汚濁責任等
5.契約の自由
契約の自由の原則
契約の成立と効力
6.契約の当事者―権利能力、意思力、行為能力
被補助人、被補佐人、成年被後見人
未成年者
契約の内容―可能性、確実性、適法性が必要になる。
7.意思表示―自由かつ正確な内心の意思の表明が必要
不本意な意思表示(詐欺、脅迫による)、錯誤による意思表示は問題となる。
契約内容の定型化
同質、同種の大量の取引―普通契約約款
電気、水道、ガスなどの供給契約、金融、保険、運送契約、電気製品、自動車等の月賦販売契約
合意擬制条項と監督官庁の許可、承認
締約強制
医師法、電気事業法など公共性、独占性を持つ事業では契約の自由が強制される。
契約の自由ほ修正―形式と実質の矛盾
8.家族法
夫婦
婚姻の形式要件と実質要件
9.内縁関係―準婚姻関係
夫婦の法的地位
夫婦同氏の原則、貞操の義務、同居義務、協力扶助義務
夫婦別産制
10.離婚―夫婦関係の破綻
協議離婚―追い出し離婚に利用?離婚意思の確認
調停離婚、審判離婚
裁判離婚―離婚事由
11.親子―自然の血縁関係
実親子関係―嫡出子と非嫡出子、認知、非嫡出子の相続分
養親子関係―普通養子制度と特別養子制度
12.扶養と相続
夫婦相互間、親子間の扶養義務―生活保持義務
その他の親族間の扶養―生活扶助義務、三親等以内の親族への拡大も
13.相続
被相続人の死亡により、相続は開始される。
遺言がなければ、相続人の順位、相続分は民法の定めるところによる。
第一順位は被相続人の子供
第二順位は直系尊属
第三順位は兄弟姉妹
代襲相続、遺留分制度、遺言制度