地域・国際研究講座は毎回専門分野の異なる教員を講師に迎え、さまざまな角度から「共通のテーマ」について考えてゆくオムニバス形式の講座です。 講座のねらいは多彩な知識を吸収することよりも、政治学、経済学、歴史学など社会科学領域の学問体系の方法論によって問題を読み解いてゆくことを通じて、学生諸君に社会科学の魅力に触れてもらうことにあります。学生諸君の中には社会科学領域の科目を暗記科目と考え、食わず嫌いになっている人も多いのではないでしょうか。異なる視点から見ると世界がそれまでとまったく違って見えてくる、そうした「目からうろこ」の経験をすることによって社会科学の面白さをぜひ知ってください。 この講座は本学の専任教員を中心に毎回異なる教員が登場しますから、学生諸君がそれぞれの教員の個性を知る良い機会です。「地域・国際研究コースを履修したい」あるいは「どのコースを選択していいかわからない」といった学生諸君(特に1・2年生)に最初に受講を勧めたいのが、この講座です。学生諸君のこれからの履修科目選択ための良いガイドラインにもなるでしょう。 今年は「世界の中の日本」を共通テーマに取り上げます。ソ連崩壊と冷戦終結、IT革命、地球環境問題など20世紀末以降の大きな変化の中で国際社会の枠組みにも大きな動揺が生じ、さまざまな対立や紛争が生じています。突出した軍事力、経済力を持つアメリカは単独主義的な傾向を強め、それに対する反発も強まっています。2001年の9.11テロ以降、世界各地で頻発するテロもこのことと無縁ではありません。一方、世界第2の経済大国日本は長い経済的停滞から抜け出せず、イラクへの自衛隊派遣など平和国家の理念も腐食しつつあります。「平和」と「豊かさ」という二つの目標を第2次世界大戦後ひたすらに守り、あるいは求めてきた私達の日本は、今、大きな試練にさらされています。 今年の地域・国際研究講座では、こうした状況どう理解すべきなのか、その中で日本はこれからどうなるのか、どのような国際的役割を果たすべきなのか、世界は日本にどのようなことを期待しているのかといった問題について、各教員が解説し、問題提起を行います。そして、それをヒントに受講生の諸君が自分の頭で考え、自分なりの考えを持てるようになることを期待しています。 この講座の全体像(各回のテーマと担当教員)は最初の講義の際に紹介します。
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