後期(火・1)時間割表へ
    比較思想
  日本と西欧の近代思想
KUBOTA KOMEI 
窪田 高明
2単位 
1〜4年 
後期 
50302000

現在、日本の社会は深刻な不況に苦しんでいる。しかし、それにもかかわらず、日本の社会が国際的に経済大国であることは否定できない事実である。それは、日本が欧米以外の地域で近代化に成功した数少ない例だからである。日本は近代化を西欧に学んだ。日本人にとって西欧の思想はいかに理解され、いかに変容されたか、それを考えることは世界の中の日本を考える重要な視点である。できれば、アジアにおける近代思想との比較も行いたい。
参考文献など、授業に関する情報が、次のホームページで提供されるので、時々参照しておくこと。<http://www.kuis.ac.jp/~kubota/>
(以下の授業計画の実施回ごとの内容は、かならずしも各回ごとの内容を示したものではなく、授業の展開の予定を示したものである。)
授業で参照する資料はプリントを配布する。特定の教科書は指定しない。

評価方法: 学期末に試験を行なう。一部、学期中のミニテストを加算する。(ただし、履修者数によってはレポートにする場合もある。)

テキスト名: 松永昌三『福沢諭吉と中江兆民』中央公論新社・中公新書
福沢諭吉『文明論の概略』岩波書店・岩波文庫
中江兆民『三酔人経綸問答』岩波書店・岩波文庫
参考文献一覧はホームページを参照

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.近代とは何か
近代社会の基本的な特徴
政治、経済、文化。資本主義の功罪。
2.日本の近代
欧米の近代化
前近代社会の挑戦。日本の人為的な近代化とその方法。
3.近世の近代的な要素
近世の不合理と合理。社会の認識。近世思想の限界。
4.福沢諭吉の思想
伝統への批判。福沢の基本的な発想。啓蒙主義の思想。合理主義としての功利主義。
5.福沢と西欧思想
文明の理解。福沢が影響された思想家たち。福沢の反西欧的な部分。
6.中江兆民の思想
中江兆民の生涯。中江兆民の思想。二つの民権。兆民の限界。
7.ルソーの思想
ルソーの社会契約論。ルソーの文化理解。ルソーの思想の特質。
8.福沢と中江
原理と結果。国家と民衆。西欧文化への理解。
9.アジアの近代思想
アジアにおけるルソー。福沢のアジア理解。中国の近代思想。
10.近代思想の現在
近代社会の限界。社会主義の崩壊と思想。近代社会の行方。