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    日本倫理思想史A
  日本人における道
UOZUMI TAKASHI 
魚住 孝至
2単位 
1〜4年 
前期 
50300301

日本の武道や芸道では、「術から道へ」とよく言われ、「・・道」を称するものが多い。一つの技芸を追求して身心ともに修練していくと、その技芸を越えて、普遍的な真理に開かれるとされる。こうした「道」の思想とはいかなるものか問題にしたい。
まず宮本武蔵において、実戦武術から武士の生き方としての道へと展開していった様を見、その総決算と言える『五輪書』の思想を考える。次に自らの弓道の修行体験をもとに、日本の武道・芸道・禅の「道」を論じたヘリゲルの『弓と禅』によって、修行の中で生じる身心の変容を問題にする。さらに武道・芸道に影響を与えた禅の修行法を見た後、修行の中で生じる変容を比喩的に説いた『十牛図』について考えてみたい。

評価方法: 講義後の感想、中間の小レポート、期末試験

テキスト名: 魚住校注・解説定本 五輪書―宮本武蔵の思想ぺりかん社近刊
ヘリゲル(稲富・上田訳)弓と禅福村出版

参考文献: 魚住孝至宮本武蔵―日本人の道ぺりかん社
ヘリゲル(榎木訳)禅の道講談社学術文庫
上田閑照・柳田聖山十牛図筑摩学芸文庫

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.はじめに;日本人における道の思想
2.I.宮本武蔵における道
1. 宮本武蔵の生涯―実戦勝負から兵法の道へ
3.2. 武蔵における道の追求―道の伝統と武術
4.3.『五輪書』における道―剣術の術理(基礎・太刀遣い・戦い方)
5.4.『五輪書』における道―武士の生き方としての兵法の道
6.II.ヘリゲルの『弓と禅』―西欧人の体験を通して見た「道」
1. ヘリゲルの弓道修行(「力を抜く」・呼吸法・礼法)
7.2.『弓と禅』における道の思想
8.3.『禅の道』と日本文化論
9.III. 禅修行における道
1. 禅の修行法
10.2.『十牛図』にみる禅の思想
11.3. 禅と日本文化
12.おわりに.無形の身体文化から見た日本文化―躾・型・修行の文化