前期(水・4)時間割表へ
    英国研究入門
  今日のイギリス−その国家と社会
AKIMOTO TOMIO 
秋本 富雄
4単位 
1〜4年 
通年 
41400100

この講義の目的は、イギリス(Britain)という「国と社会」の「今」を多面的に理解するための基本的知識を身につけてもらうことにあります。前半は、連合王国(United Kingdom)イギリスのあらましを概説的に紹介した後で、「国民国家(nation-state)」としてのイギリスの今日的特徴を理解してもらうため、1980年代以降大きく変わりつつある立法・行政・司法制度の現状を考察していきます。後半は、中央〜地方関係、ナショナリズム、経済、階級社会構造の変容、EU統合、福祉国家などのテーマを取り上げながら、急速に多様化しつつある現代イギリス社会の諸特徴を明らかにしていく予定です。

評価方法: 原則として定期試験および課題レポートによる評価。授業への貢献度も積極的に考慮していきます。

参考文献: ポール・スノードン、大竹正次イギリスの社会早稲田大学出版部1997
川北稔、木畑洋一イギリスの歴史有斐閣2000
John McCormick, Contemporary Britain, Palgrave, 2003

  講義はレジュメを中心に進めていくので、指定テキストはありません。
参考書ですが、和書の2冊は、イギリスの歴史・社会について、もう少し詳しく勉強したい人のために役立つものです。英書は、この講義のプログラムを作成する上で参考にした書物の中で、初学者/一般成人読者向けのスタンダードなテキストとしてお勧めのもので、情報も新しく、価格も比較的押さえられています。

注意事項: 折に触れ、イギリスに関するアップ・トゥー・デイトな話題も積極的に扱っていく予定なので、授業の項目・進度に変更の出る可能性があります。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.イントロダクション:現代英国研究の視座
:イギリスの地勢
2.英国史概観:古代から近代まで、ブリテン島の歴史を振り返る。
3.イギリス社会の現況:イギリス社会の多様化とは?
4.英国憲法制度:「成文」憲法のない英国憲政の特徴
:イギリス皇室の現在
:ブレア政権による憲政改革の現状
5.英国の議院内閣制度:イギリスの議会制度
:首相と内閣
:選挙制度と政党政治
6.英国の行政制度:変わりつつあるイギリスの官僚制度
7.英国の司法制度:イギリスの裁判制度
:市民社会と法秩序
8.英国の地方自治体:「カウンシル」制度とは?
:ブレア政権による地方政治制度改革
9.ナショナリズム:中央〜地方関係の変容(Devolution=権限委譲)
:補遺;スコットランドにみるナショナリズムの軌跡
:補遺;北アイルランド問題
10.英国経済:産業革命以降の英国経済小史
:産業構造変容の社会的インパクト=階級社会構造の弛緩
11.グローバリゼーションと英国:EU統合と英国
:補遺;イギリスの外交政策
12.福祉国家イギリスの変貌:ゆりかごから墓場まで?
:福祉国家体制の再検討
:イギリスの教育制度
13.補遺:マス・メディアとイギリス文化事情
14.まとめ