日本語学研究(統語) 
HASEGAWA NOBUKO
長谷川 信子 
4単位 
  
通年 

日本語も「言語」の一つ。言語全体に関わる形で日本語の文法体系(統語syntax:音と意味をつなぐ体系)を、生成文法の考え方を通して考察する。一つ一つの文や現象に囚われるのではなく、言語体系、日本語体系全体がどうなっているのか、の観点から個々の文型や現象を考えるというアプローチを採用する。そうすることにより、日本語の教科書に使われる文型や構文に対し、より大局的に構造を考察することができるようになることを目指す。
本講義では、まず、日本語の統語現象に対する規則性に対する感性を磨くことから始め、そうした日本語の統語現象を、生成文法の基本的考え方と分析方法により捉える。生成文法理論を自由に駆使して研究をすすめるようになれることに越したことはないが、このクラスではそこまで求めず、将来的に、生成文法理論の枠組みで書かれた記述に重きをおいた論文を理解し、その知見を自らの研究に生かせるようになることを目指す。
以下の2冊のテキストを併用するが、必要に応じてプリントを配布する。  

評価方法: ・基本的には講義が中心で、テキストの予習・復習は必ずしてくることが前提。
・2週に1度程度、「宿題」を出す。(提出期限厳守、遅れた場合は受け付けない)
・評価は、宿題、中間レポート、期末レポート、クラス討議への参加(出席を含む)、を総合的に考察する。

テキスト名: 野田尚史『はじめての人の日本語文法』くろしお出版
長谷川信子『生成日本語学入門』大修館書店、1999年
●野田のテキストについて
これは自習(予習・復習)で十分理解できるものなので、授業では、それを読んできていることを前提に講義・討議する。各章の終わりに「復習」「発展」のセクションがあるが、これらのいくつかは宿題とする。また、期末レポートのトピックには「研究」にあるものから各自選んで、調べてまとめる。
このテキストは、日本語の文の部分や語(品詞や活用、助詞の違い、語の使用など)に焦点をあててあり、それらの使い方や意味の違い、文法性を意識化するのに適している。
●長谷川のテキストについて
このテキストは、上記の野田のテキストなどで意識化された日本語の規則性を、生成文法の考え方を通して考察し、日本語の文法体系(統語syntax:音と意味をつなぐ体系)を、一つ一つの文や現象に囚われるのではなく、言語体系、日本語体系全体がどうなっているのか、の観点から体系化することにより、日本語の全体像を掴むことを目指す。このテキストについては講義が中心となるが、宿題(プリントを用意)を通してその理解を定着させる。

授業計画――――――――――――――――――――――――――――――
1.(第1週〜第4週)  品詞と助詞の意味、活用と機能
2.(第5週〜第8週)  単文の構造と派生
3.(第9週〜第12週)  複文の構造と派生、従属節のタイプ
4.(第13週〜第16週)  受動文と使役文、自動詞と他動詞
5.(第17週〜第20週)  人称、授受表現、尊敬語
6.(第21週〜)     関係節と語彙化