日本だけを見ても、国内関係、国際関係を問わず、様々な政治問題が吹き出している。例えば、民主主義の要請として各地で住民投票条例が成立しているが、これは憲法の間接民主主義(議会主義)とは矛盾する側面をもつ。また環境問題をとっても、それは現代世代の幸福と未来世代の自然的、文化的環境との間の「世代間正義」の問題でもある。夫婦別姓問題や同性婚、男女共同参画社会基本法、人工授精や遺伝子操作などは一夫一婦の伝統的(?)婚姻制度の根幹に関わる(愛と権利の)問題である。 国際的には、集団安全保障と憲法の平和主義、愛国主義と国際主義、外国人労働者の受け入れ問題、靖国問題等々、多くの難問が浮かび上がっている。これらの問題に対してはその場限りの対処療法ではなく、人権とは何か、国家とは何か、民主主義とは何か、男女の関係とはどうあるべきか、等、哲学的、根源的に考えて見る必要のある問題ばかりである。さらに具体的な問題としては、「現代国家論」や「社会思想史」あるいは「憲法」「法学」「人権論」の授業で触れる内容を参考にしてもらいたい。 これらの授業を受講していることを条件とはしないが、本ゼミに参加しようとする者は、できるだけ自分の問題関心を明確にしておくこと。3、4年通しての参加を原則とする。自分の問題を他の参加者に理解させることができるよう、報告の機会を多く設け、議論を中心にしたい。参加者の人数にもよるが、共通テキストを指定する予定はない。
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